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ウルイと誤食したヒメザゼンソウによる食中毒例

2024.04.12

投稿者
クミタス

有毒植物と誤食
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4666 
にも掲載しておりますが、サトイモ科ザゼンソウ属に分類されるヒメザゼンソウを、ウルイ(オオバギボウシ)と間違えて食べ、口腔内のしびれ(イガイガ、ピリピリ感)、汁が付着した部位を中心にした皮膚炎、顔の紅潮や腫れ、悪心、胃痛、下痢や嘔吐などの症状を生じることがあります(原因物質:シュウ酸カルシウム)。
今回はウルイと誤食したヒメザゼンソウによる食中毒例について掲載します。
 
55歳男性。 既往歴:脂肪肝、膵囊胞。山で複数の山菜を採取した。同日19 時ごろ、山菜のうちウルイと判断した葉1枚を、電子レンジで加熱して口に含んだところ、強烈な辛味を感じて噛まずに葉を吐き出した。吐き出した直後から、口腔内のしびれと飲み込みにくさを自覚した。症状が持続するため、摂食から 2 時間後に救急外来を受診した。  
来院時:意識清明、血圧 112/66 mmHg、心 拍数 62 回/min、呼吸数 16 回/min、SpO2 99%(室内気)、体温 36.5℃。口唇の腫脹や口腔粘膜の発赤・びらん・腫脹は認めず、心窩部に軽度の自発痛と圧痛あり。血液検査に特記すべき所見はなし。

81歳女性。 既往歴:高血圧症、パーキンソン病。 上記男性とともに加熱した葉 1 枚を口に入れ、強烈な辛味を感じたが、そのまま葉を飲み込んだ。自覚症状はなかったが、上記男性とともに救急外来を受診した。
来院時:意識清明,血圧 121/69 mmHg、心拍数 80 回/min、呼吸数 16 回/min、SpO2 99%(室内気)。身体診察、血液検査に特記すべき所見はなし。

両名とも粘膜刺激症状が主と考えられ入院。絶食とし輸液が施行され、翌日に経口摂取が可能なことを確認され退院。 上記男性から原因となった植物に関して、「ヒメザゼンソウと間違えたかもしれない」と話があり、持参された葉の形状もヒメザゼンソウと一致していたことなどから、食中毒として届出され、保健所で外観の鑑定によりヒメザゼンソウによる食中毒と確定診断されています。

ヒメザゼンソウは北海道から本州(主に日本海側)にかけて、低山から山地の湿地帯に分布し、ウルイと同じく3月下旬~4月ごろに見られる新芽の見た目がウルイと似ていることで、誤食されるリスクがあります。
咀嚼をしてシュウ酸カルシウムの針状結晶が放出されることで、口腔・舌・口唇の浮腫、咽頭浮腫、潰瘍化、嚥下困難、気道浮腫、呼吸困難を生じる場合もありますので、ご留意ください。

マムシグサの実による症状出現
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4405

出典・参照:飯沼朗子,佐藤信宏,田辺耕介,吉田暁,廣瀬保夫 ウルイと誤食したヒメザゼンソウによる植物性食中毒の 2 例 

Author クミタスさん

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