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自然災害で放出される物質と影響例

2018.05.01

投稿者
クミタス

もともと自然界に存在する化学物質にもヒトに有害なものがあり、毒性が弱く暴露量が少なければ、リスクは低い一方、毒性、暴露量がどのくらい高いかによりリスクは変わってきますが、自然災害により有害物質が放出されることもあります。

火山噴火による影響例(火山ガスの温度などによっても組成が異なる場合もあります)
二酸化炭素、一酸化炭素、水素、塩化水素、窒素、フッ素、フッ化水素、二酸化硫黄、硫化水素、硫酸イオン、ダイオキシン類、カドミウム、水銀、ホウ素、鉛、ヒ素などの放出、濃度上昇。
水溶性成分による河川水・地下水の汚染、雨の汚染、農作物の汚染、灰の直接吸引、摂食による健康被害。

硫黄山噴火後に環境基準の約200倍のヒ素が検出された、との報道も過去になされていますが、ヒ素は火山活動に関連した熱水や噴気などにより大気中に放出され、また火山地帯では水域に流入することがあります。
農作物、特に米からは比較的ヒ素が検出されることがあり、また日本では鉱山開発の経緯からカドミウム濃度が高い米が生産される地域もあります。
各食品のヒ素濃度、低減策については、以下を参照ください。
米にも含まれるヒ素について
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/540

自然災害と疾患の観点では、以下影響例も挙げられます。

・降灰と喘息、喉、鼻、眼の刺激
降灰、二酸化硫黄などの刺激から、喘息症状が悪化する可能性は考えられますが、鹿児島市の病院で外来通院中の喘息患者さん214人(男性80人、女性134人。平均年齢61歳)において、桜島の降灰に遭遇したときに喘息症状が必ず悪化すると答えたのは19人(8.8%)、増悪はおきないが灰を見ると心理的に息苦しくなる、は59人(27.6%)、喉、鼻、眼の刺激など喘息症状以外の症状を訴える患者さんは124人(57.9%)、降灰の呼吸器疾患への長期的な悪影響が必ずある、少しあると167人が答え、身体的また心理的な影響を及ぼしている可能性があるとの示唆もあります。

二酸化硫黄は臭いによりその存在に気付きやすい面がありますが、500ppmを超えると嗅覚が冒され、臭気を感じにくくなります。二酸化硫黄は水に溶ける性質がありますので、鼻、口、眼を濡れたタオルで覆うなども、吸収量の低減対策になり得ます。


出典・参照:新燃岳噴火に伴う火山灰の化学的性状
桜島(鹿児島市)の噴火による降灰が気管支喘息に及ぼす影響について(患者アンケート調査)

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