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毒キノコについて。触わるだけで毒性のあるキノコとは?

2015.10.01

投稿者
クミタス

毒きのこの毒性


毒キノコの毒性にも嘔吐下痢から臓器障害に至るもの、毛細血管から脳に障害をもたらすもの、知覚や神経障害をおこすものなどがあります。



 

きのこの毒の種類


●原形質毒性型(致死率が高い)

・コレラ様症状、肝臓、腎臓障害型/ドクツルタケ、シロタマゴテングタケ、タマシロオニタケ、テングタケモドキ(アマトキシン類等が毒性物質)
~コレラ菌に感染したような激しい嘔吐、下痢、腹痛が起き、一旦落ち着いた後に肝臓や腎臓に障害を与えます。

・溶血障害、心機能不全型/ニセクロハツ
~食べると嘔吐・下痢を起こし、瞳孔の縮小、背中や肩の痛み、言語障害、尿が赤くなるなどの症状、心臓の衰弱、意識障害が起こり得ます。

・毛細血管など循環器障害型/カエンタケ(トリコテセン類等が毒性物質)
~食べた場合は嘔吐・下痢、40℃以上の発熱、発赤、唇の腫れ、髪の毛が抜ける、意識障害、脳が委縮し運動障害が起こり得ます。
 

●神経障害型(知覚及び神経系症状)

・副交感神経刺激型(ムスカリン様)/オオキヌハダトマヤタケ、アセタケ
~食べると涙、唾液、大量の汗を吹き出します。

・副交感神経麻痺型(アトロピン様)/テングタケ、ベニテングタケ(写真のキノコになります)、ハエトリシメジ
~縮瞳、発汗、めまい、精神錯乱、痙攣、呼吸困難がおこることもあり、テングタケでの死亡例もあります。

・中枢神経麻痺型(幻覚剤様)/シビレタケ、ヒカゲシビレタケ、オオワライタケ
~シビレタケ、ヒカゲシビレタケはいわゆるマジックマッシュルームとされるものであり、シロシビン、シロシンなどによる作用により興奮、幻覚、意識障害、麻痺、精神錯乱がおこります。

・末梢血管運動神経刺激型(肢端紅痛症)/ドクササコ
~末端紅痛症を起こし、手足の先端が赤く腫れ、激痛を伴う症状が1カ月以上続きます。致死性があります。

・ジスルフィラム型(アンタビュース様)/ホテイシメジ、ヒトヨタケ、スギタケ
~アルコールの分解を妨ぐ作用があり、お酒を同時に摂取すると吐き気や二日酔いなどをもたらします。

●消化器障害型:ツキヨタケ、クサウラベニタケ、カキシメジ、ドクヤマドリ、ネズミシメジ
~下痢、嘔吐からツキヨタケなどでは致死性もあります。

●有害成分を含み健康障害を起こす(可能性を含む)キノコ
身近なキノコでも自生しているもの等に、有害成分が含まれる場合があります。

・ヒドラジン系化合物 (アガリチン)/ツクリタケ(マッシュルーム)、アガリクス(カワリハラタケ、ヒメマツタケ)、シイタケ 
~変異、発がん性、肝障害

・シアン産生菌/ニオウシメジ、スギヒラタケ、マイタケ、エリンギ
~吐き気、下痢

・ホルムアルデヒド/シイタケ
~皮膚炎、嘔吐、下痢

・カダベリン/マツタケ
~腹痛、吐き気、嘔吐

●その他有害成分を含むもの:
放射能(Cs-137)/カバノアナタケ、アンズタケ
カドミウム/ハラタケ属(ツクリタケ、アガリクスなど) 

出典:「きのこ毒」長野女子短期大学 山浦由郎 より編集

誤食されやすいきのこ


ツキヨタケはシイタケ、ムキタケ、ヒラタケに似た毒々しさのない見た目で、日本全国で見つけやすいキノコであることからも、食用可と間違われて摂取される機会の多いキノコです。
画像は以下を参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/kinoko_06.html

「縦に裂けるキノコに毒性は無い」などの言い伝えもありますが、誤っているものも多くありますので、以下を参照ください。
・見た目の派手さがなくても毒性はある。
・虫に食われていても毒性はある
(虫も食べられるからヒトも大丈夫、とは残念ながらなりません)。
・縦に裂ける毒キノコはある。
・かじって苦味を感じない毒キノコもある
(ドクツルタケは比較的美味しい部類の毒キノコと言われています)。
・塩漬けにしてもすべてのキノコで毒性が減るわけではない
(ツキヨタケ、ドクツルタケなどは塩漬けにしても毒性は減りません)。
・煮汁を捨ててもすべてのキノコで毒性が減るわけではない
(100℃のお湯でほとんどの毒は分解されず、煮ている最中の蒸気を吸引して中毒になる場合もあります)。
・ナスと煮ても毒性は減らない
(ナスに解毒作用はありません)。
・煮汁中に銀スプーンを入れて黒変するかどうかで食べる判断はできない
(毒キノコの毒性で銀を黒変させることはありません)。
・油で炒めてもすべてのキノコで毒性が減るわけではない
(むしろ油炒めにより毒成分がよく溶けだし、症状が重くなる可能性もあります)。
・乾燥してもすべてのキノコで毒性が減るわけではない
(乾燥して毒性が減るとは言えず、カキシメジとドクツルタケを乾燥させて食べ、中毒になった事例があります)。

接触するだけでも症状が出るきのこ


触わるだけでも症状が出るキノコもあります。

カエンタケ:ナラ枯れする山林にカエンタケが増殖しております。見た目に食用ではない雰囲気を醸し出しており、そのインパクトの強さから、触わりたくなる感はありますが、触わるだけでも接触した部位の炎症など皮膚障害をもたらし得ます。

誤って触ってしまった場合は
水やお茶でもまずは洗浄するようにし、触った指手で目や鼻、口の中等を触らないようにしましょう。下山した後にも、石けんなどでしっかり洗い流し、受診しましょう。

画像は以下を参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/kinoko_19.html
https://www.kinoco-zukan.net/kaentake.php
 

吸引するだけでも症状が出るきのこ


シャグマアミガサタケ:含まれる毒性物質のギロミトリン類が、煮沸など加水分解されるとモノメチルヒドラジン(MMH)を生成します。そのためシャグマアミガサタケを煮ている際に換気対策をできないと、モノメチルヒドラジン(MMH)を吸引し症状が出ることがあります。
モノメチルヒドラジン(MMH)を含む蒸気を吸引してしまった場合は、灼熱感、咳、吐き気、嘔吐、紫色の唇、皮膚や爪(チアノーゼ)、めまい、頭痛、息切れ、息苦しさ、痙攣といった症状がおこり得、遅れて現われることがあります。 
また、煮こぼした液が皮膚に付着し発赤や痛み、炎症が起こることや、皮膚からモノメチルヒドラジン(MMH)を吸収することがあります。

ヨーロッパでは毒抜きしたシャグマアミガサタケの缶詰(生食でない)なども流通しており、毒抜きが安全に行われれば食用にもなりますが、完全に毒抜きできるかの判断は難しいところですので、毒性の高いキノコであると認識頂くのが良いでしょう。

画像は以下を参照ください。
https://www.kinoco-zukan.net/syagumaamigasatake.php
メチルヒドラジンに関する参考資料:
https://www.nihs.go.jp/hse/chem-info/aegl/agj/ag_Methylhydrazine.pdf

自生キノコの毒性の見極めは、非常にリスクが高いため、過信せず採取は控えましょう。

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