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貝による食中毒について

2015.08.14

投稿者
クミタス

貝にアレルギー症状のある方もいらっしゃると思いますが、アレルギー以外で下痢、嘔吐や意識障害を引き起こす可能性のあるものに食中毒が挙げられます。




 

貝毒とは?


貝毒の種類:麻痺性貝毒、下痢性貝毒、神経性貝毒、記憶喪失性貝毒。このうち、日本では麻痺性貝毒(PSP)、下痢性貝毒(DSP)が主に該当します。

貝毒の原因:有毒プランクトンを餌とする貝などに蓄積された耐熱性毒を摂取することで症状が出現します。

毒化原因プランクトン:
麻痺性貝毒/Alexandrium catenella、Alexandrium tamaense、Gymnodinium catenatum
下痢性貝毒/Dinophysis fortii

対象:二枚貝であるアサリ、帆立貝、赤貝、アカザラガイ、ヒオウギガイ、ムラサキイガイ(ムール貝)、牡蠣、ウバガイ。
同じプランクトンを餌としているホヤ類、カメノテ、フジツボ、トゲクリガニ、イシガニ、スベスベマンジュウガニ等

症状:
麻痺性貝毒/食後30分で口唇、舌、顔面、手足にもしびれが広がり、軽症の場合は24~48時間で回復しますが、重症の場合は運動障害、頭痛、嘔吐、言語障害、流涎等の症状が現れ、麻痺が進行すると呼吸困難で死亡することもあります。
下痢性貝毒/下痢、吐気、嘔吐、腹痛が主症状で、食後30分から4時間以内に起こります。3日以内に回復することが多く後遺症、死亡例は基本的にはないとされています。

対策:市販品においては貝毒検査によって、中毒症状に至るレベルのものは出荷規制により基本的に流通されないようにはなっていますが、潮干狩りなどで自ら採取し持ち帰る場合は、注意が必要です。
もともと日本に自生していなかったのですが、バラスト水などで日本に持ち込まれ、岸壁に生息するようになったムール貝を採取し食中毒が起こっている事例もあります。

貝毒は加熱しても毒素が分解されず、酢や薬味を使っても減毒はしないと言われています。貝毒汚染状態かどうかは見た目での判別は困難なため、採取した周辺での出荷規制有無を確認しておくと良いかと思います。
出荷規制・解除情報は産地である都道府県の農林水産業関連のホームページ内にて掲載されています。

・出荷規制開始時期(過去例より)
~麻痺性貝毒
ムラサキイガイ(ムール貝)茨城県で3月中旬~4月頃
~下痢性貝毒
ムラサキイガイ(ムール貝)茨城県で6月~8月中旬頃

・出荷規制終了時期(過去例より)
~麻痺性貝毒
ムラサキイガイ(ムール貝)茨城県で5月中旬~6月初旬頃
~下痢性貝毒
ムラサキイガイ(ムール貝)茨城県で7月中旬~9月初旬頃

参考:茨城県ホームページ
https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/gyosei/kikaku/kaidoku/index.html

有毒プランクトン以外で起こる食中毒について


有毒プランクトンによる貝毒以外に、貝に付着するノロウイルス、腸炎ビブリオ、ビブリオ・バルニフィカスを摂取することでの食中毒もあります。
発生頻度の高い時期・場所の採取品の摂取を控える、加熱調理する、大量摂取を控える、ことでリスクを低減し得ます。ビブリオ・バルニフィカスは、肝臓疾患のある方、免疫力が低下状態の方や貧血の治療で鉄剤を内服している方の発症リスクが高いのですが、皮膚に水疱の出現、低血圧、ショック状態、発熱・悪寒を伴う敗血症を起こす可能性があり、敗血症を起こすと50%~の致死率とも言われています。ハイリスク者の方は特に、夏の二枚貝の生食には注意しましょう。

ちなみに、牡蠣には「生食用」、「加熱用」の商品がありますが、菌数に違いがあり、「生食用」の規格を超えたものが「加熱用」となります。
「生食用」牡蠣の規格
・細菌数 50,000以下/g
・E.coli(大腸菌)最確数 230以下/100g
・腸炎ビブリオの最確数 100以下/g(むき身にしたもの)
牡蠣(カキ)を採取した海域又は、かきを浄化した海水の大腸菌群最確数は海水100ml中70以下と定められています。

ノロウイルスについては、生食用であっても一定量検出される可能性もあります。ノロウィルスは特に、鮮度と関係なく新鮮なものであっても検出はされます。他の二枚貝においても同様に、不調時や心配な時には、加熱(中心部温度85℃以上で1分以上)が望ましいでしょう。

参考:
https://www.city.sakai.lg.jp/kenko/shokuhineisei/shokuchudokuyobo/kaidoku.html
https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_det_10.html
https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_det_09.html

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