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アルミニウムフリーが意味するもの

2015.01.20

投稿者
クミタス

ベーキングパウダーを購入しようといったときに、アルミニウムフリーのものを選択される方も多いかと思います。

アルミニウムとは?


アルミニウムは自然界に存在する金属で、食品にも微量に含まれています。ハーブ、ココア、スパイス、茶葉、しいたけ、マッシュルーム、ホウレンソウ、レタス、コーン、果物、乳製品、ソーセージ、魚介類など、そして飲料水、また一部の胃薬などの医薬品、ミョウバン、ミョウバンを含むベーキングパウダー、着色料(アルミニウムレーキ)、食品添加物の色止め剤、品質安定剤の一部等に含まれます。
経口摂取の場合、多くは排出されるとされていますが、アルミニウムが人体でどのようなはたらきをするかは明確にはわかっていません。いまのところは、アルミニウムが人体に必須であることの証明はできておらず、欠乏した場合の問題はないと考えられており、積極的に摂取する必要はないとされています。

アルミニウム摂取による健康被害とは?


アルミニウムを食品、添加物などから喫食により経口摂取した場合、1%ほどが体内に残留するとの意見もあります。長期に過剰摂取をしていなければ、必要以上に心配することはないとの意見もありますが、腎障害のある人はアルミニウムの排泄が悪く、蓄積しやすい面もあります。

アルミニウムを血液吸収、肺から吸収する場合には健康被害が報告されています。
かつては長期の血液透析により、腎機能障害によりアルミニウム排出機能が低下している状態であることや水道水を透析時に使用したことも起因し、体内アルミニウム値が高くなり脳症、骨症が起こることがありました(透析脳症はアルツハイマー病とは別の疾患になります)。
またアルミ粉末を吸引すると、塵肺になる可能性もあり、職業上日常的に吸引する環境である場合など、数年間程度で呼吸困難、衰弱などに至る場合があると言われています(吸引程度によっても異なり個人差もあります)。

尚、アルミニウムが蓄積しやすい部位としては、肝臓、結腸、骨、脳が挙げられると言われています。

暫定耐容週間摂取量と安全性について


現在、アルミニウムの暫定耐容週間摂取量PTWI(Provisional tolerable weekly intake)は2mg/kg/週となっています。
ヒトが一生涯にわたり摂取し続けても健康影響が現れない1週間あたりのアルミニウム摂取量は体重1㎏あたり2mgとの意味になりますが、この量を上回った場合にすぐに健康被害が生じるというわけではなく、目安量としての意味になります。そこで懸念されているのは小児においての摂取量になります。

食品中のアルミニウム含有量においては、砂糖類・菓子類が最も多く、砂糖類・菓子類を食べる機会のある層である小児(1~6歳)ではアルミニウムの週間平均摂取量が一番多く、平均として0.8mg超/kg/週ほどとなっているとのレポートもあります。

クエン酸カルシウムはアルミニウムの吸収を高めるとの意見もあります。また、諸々意見があるところですが、長期使用のアルミニウム製の調理器具や樹脂コーティングがされていないアルミ缶においては、酸や加熱で成分が溶出しやすくなるとの意見もあります。
土壌の話ですが、酸性土壌下では土壌中のアルミニウムはアルムニウムイオンとして溶解し、根の伸長を抑制し植物の生育に悪影響をもたらします(そのためアルミニウムに強い遺伝子組換え種子が流通しています)。中にはアルミニウムに強いと言われる植物にソバ(葉)、茶(新芽でない)、アジサイ等がありますが、それはアルミニウムに負けないで植物自体がアルミニウムを蓄積するからであり、アルミニウム濃度が比較的高い植物でもあります。ちなみにアジサイが赤から青色に色を変えられるのはアルミニウムの影響によるものとされています(ミョウバンの染色作用もこのアルミニウムの特性が影響しています)。
尚、アルミニウム製調理器具については、健康面への懸念等により西ドイツ、フランス、ベルギー、イギリス、スイス、ハンガリー、ブラジルでは販売規制があります。

飲料水、アルミニウム製の調理器具や缶、食塩、食品添加物、食品、一部の胃薬など医薬品、制汗剤、消臭剤、一部の歯磨き粉、化粧品などを合算すると、2mg/kg/週には至っているのではとの意見もありますが、アルミニウムフリーでないベーキングパウダー(ミョウバン成分含有)には、他と比較しても多くの量を含んでおり様々な菓子類、一部のパン類にも使用されている点は留意するところかと思います。

安全性においてはアルミニウムに限らず多くのことに言えることですが、確実に健康リスクがあると言えないから安全であるとも、安全性が報告されているから健康被害は100%おこらないとも言い切れない面があります。

解明され公知になっていない段階では、どういった判断をするかは個々の考えにも基づくところかと思いますが、不要と考えるのであれば、体内吸収を減らせる選択肢はあるかと思います。


独立行政法人国立健康・栄養研究所
https://hfnet.nih.go.jp/contents/detail970.html

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