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真菌(カビ、酵母)とアレルギーについて

2014.12.07

投稿者
クミタス

病原体には、原虫、真菌、細菌、ウィルス、プリオンがあります。
真菌には、カビ、酵母、きのこが含まれます。
真菌の中で、通常、菌糸を形成して成長する種類をカビ(糸状菌)と呼び、単細胞のまま成長を続ける種類を酵母と呼びます。
これらが人間に有用な変化となることを発酵と呼び、望ましくない方向へ変化することを腐敗と呼びますが、発酵に有用なコウジカビでも別の食品に混入すると腐敗菌とされることがあります。
発酵は乳酸菌による発酵もありますが、乳酸菌は細菌であり、納豆も納豆菌という細菌による発酵です。

真菌と発酵食品


真菌が関与する発酵食品には以下が挙げられます。

アスペルギルス・オリゼー:酒、みそ、醤油、みりん、酢
アスペルギルス・ソーエ:みそ、醤油
アスペルギルス・タマリ:たまり醤油
アスペルギルス・アワモリ:泡盛
アスペルギルス・カワチ:焼酎
アスペルギルス・グラウクス:鰹節(枯節、本枯節)
アスペルギルス・レペンス:鰹節(枯節、本枯節)
アスペルギルス・ニガー:有機酸製造

サッカロミセス・セレビシエ:パン、酒(日本酒、ビール、ワインなど)
サッカロミセス・パストリアヌス:ワイン、ビール
サッカロミセス・ルキシー:みそ、醤油


アスペルギルスとはコウジカビのことで、中でもアスペルギルス・オリゼーによる発酵食品は日本の食卓になじみの深いものです。

アスペルギルス・オリゼーは、でん粉を分解する能力が高く、アスペルギルス・オリゼーによる米でん粉の糖化により出来上がるのが甘酒で、甘酒に酵母のサッカロミセス・セレビシエなどが加わると日本酒が出来ます。
この米糀からつくられる甘酒は基本的にノンアルコールですが、酒粕を使用して製造される甘酒にはアルコールが含まれます。

サッカロミセスとは酵母菌の属名で、複数菌株の総称であり、この中にはパン酵母であるイーストも、酒類をつくる酵母菌も含まれます。

真菌とアレルギー(様)症状


私たちの食を豊かにしてくれる真菌、発酵食品。過度に心配する必要はありませんが、場合により健康被害をもたらすこともあり、感染症、食中毒、そしてアレルギー性(様含む)の疾患を引き起こす要因となるものもあります(以下一例)。

・コウジカビ属菌(アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・フラバスなど):アスペルギルス症(肺アスペルギルス腫、侵襲性アスペルギルス症、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症)の原因菌
・ヘルミントスポリウム属菌:アレルギー性喘息、鼻づまり 眼の下のくま、結膜炎の原因の一つとなる可能性。
・ケカビ目の真菌:吸引によりムコール症(感染症)
・白癬菌(トリコフィトン):喘息の原因の一つとなる可能性
・カンジダ菌(糸状菌(カビ)と酵母(イースト菌)の両方の形態をとるもの):膣炎や皮膚炎の原因菌
・イースト菌:過敏性大腸症の原因の一つとなる可能性

アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・フラバス、日本ではアスペルギルス・オリゼーも原因となりアレルギー性気管支肺アスペルギルス症、肺アスペルギルス腫、侵襲性アスペルギルス症といった、アスペルギルス症を引き起こすことがあるとされています。

アスペルギルス・オリゼーによる発酵食品を飲食してアスペルギルス症といった呼吸器疾患を引き起こすことはありませんが、アスペルギルス・オリゼーを用いた発酵食品を作る過程で胞子を大量に吸い込むと、また健康状態が良くない時にはアレルギー症状が出ることがあるとも言われています。

酵母を含む食品に反応する場合


ビール酵母、パン酵母にはヒスチジン、ヒスタミンを多く含むものがあります。ヒスチジンを多く含むものを摂取すると、ヒスタミンが形成され、全身のかゆみや鼻水、下痢などのアレルギー様症状を引き起こす場合があると言われてます。
ヒスチジンは乳酸菌発酵食品であるチーズにも比較的多く含まれるものでもあります。

また、ヒトの腸管内にカンジダ菌が増えすぎると、腸の状態が悪化し食物アレルギー様症状が出る場合があるなどという説もあります。

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