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EUにおける食品表示状況

2014.11.20

投稿者
クミタス

食品の表示ルールには、各国での違いがあります。
表示ルールにおいて、日本でも改変が進んでおりますが、表示ルールが比較的充実している各国の特徴と違いについて、今回はEU編をお送りします。





 

EUにおける基本的な表示義務事項


EUにおける基本的な表示義務事項は以下になります。
・販売製品の名称
・成分リスト
・アレルギー・不耐性を引き起こす物質・製品
・特定の成分(ないし成分カテゴリー)の分量
・食品の正味量
・賞味あるいは消費期限
・特別な保管条件や使用条件(特にある場合)
・製造者か包装者もしくは域内の販売者の名称・住所
・原産地または発送地(消費者が誤認する恐れがある場合、使用方法(記載がないと適切に使用できない場合)
・重量比で 1.2%超のアルコールを含む飲料のアルコール強度
・栄養表示/カロリー表示

EUにおける表示の特徴


EUにおける表示の特徴としては以下が挙げられるかと思います。

・義務項目は最小1.2㎜のフォントサイズで表示(食品包装・容器の最大表面部が80平方センチより小さい場合は0.9㎜以上)。アレルギー誘発物質については強調

・7つの栄養成分(エネルギー、脂質、飽和脂肪酸、炭水化物、糖分、たんぱく質、塩分)の表示義務化(アルコール飲料、未包装食品、食品包装・容器の最大表面が小さい場合、個人による食品販売、皮をむかずカットしていない生鮮野菜・果物、炭酸の含有を明示した炭酸飲料、単独の基本製品だけに由来しほかの成分が加えられていない発酵酢、ほかの成分が加えられていない乳製品や発酵乳、単独の成分からなる食品は適用除外)。

・小売店や外食業で販売する無包装の食品に、アレルギーを誘発する原材料の情報提供を義務化

・食品の製造・調製に使用される香料、食品添加物、食品酵素を含む物質ないし製品および複合成分のあらゆる構成物で、形態が変化したとしても最終製品に存在する物質の表示義務

・冷凍食肉及び未加工の魚について冷凍の日の表示義務

・原産地表示義務は品目ごとの基準のあった蜂蜜、果物、野菜、魚、牛肉、牛肉製品、オリーブ油に加え、豚肉、羊肉、山羊肉、鶏肉の表示義務(輸入品もしくは域内産品に対して原産国表示義務は設けておりません)

アレルゲンとして表示義務のある食品と日本との違い


大きくは、小麦、甲殻類、卵、魚、ピーナッツ、大豆、乳、ツリーナッツ、セロリ、辛子、ごま、一定量以上の二酸化硫黄または亜硫酸塩、ルピナス(マメ科植物)、軟体動物になり、細かくは以下規定があります。
 
1.  下記を除くグルテンを含む穀物(小麦、大麦、オーツ麦など)および同製品
・小麦由来グルコースシロップ(ブドウ糖を含む)
・小麦由来マルトデキストリン
・大麦由来グルコースシロップ
・アルコール留分(農業由来エチルアルコールを含む)の製造に使用される穀類
2. 甲殻類および同製品
3.  卵および同製品
4.  下記を除く魚および同製品
・ビタミンまたはカロテノイドの調製に担体として使用される魚ゼラチン
・ビールおよびワインの清澄剤として使用される魚のゼラチンまたはアイシングラス
5.  ピーナッツおよび同製品
6.  下記を除く大豆および同製品
・完全に精製された大豆油および脂肪
・天然混合トコフェロール(E306)、天然 D-α-トコフェロール、天然 D-α-酢酸トコフェロール、大豆由来の天然 D-α-コハク酸トコフェロール
・大豆フィトステロールおよびフィトステロールエステル由来の植物油
・大豆由来の植物油ステロールから製造された植物スタノールエステル
7.  下記を除く牛乳・酪農製品(ラクトーゼを含む)
・アルコール留出分(農業由来エチルアルコールを含む)の製造に使用される乳清
・ラクチトール
8.  ナッツ(アーモンド、ヘーゼルナッツ、ウォルナッツ、カシューナッツ、ピーカンナッツ、ブラジルナッツ、ピスタチオナッツ、マカデミアナッツ)およびその製品:アルコール留出分(農業由来エチルアルコールを含む)の製造に使用されるナッツを除く
9.  セロリおよび同製品
10.  辛子および同製品
11.  ゴマおよびその製品
12.  濃度が 1 キロ/1 リットルあたり 10mg 超の二酸化硫黄または亜硫酸塩(SO2)
13.  ルピナス(マメ科植物)および同製品
14.  軟体動物および同製品
 
ルピナスとは大豆の代替にもなるマメ科植物で、日本では実は葉団扇豆、羽団扇豆、ハウチワマメと呼ばれ、ヨーロッパでは園芸においても人気がありますが、日本で特に食用にはなじみが薄いかもしれません。
軟体動物は、イカ、タコもそうですが、アワビ、サザエなどの巻き貝類、ホタテガイ、カキ、アサリ、シジミ、ハマグリなどの二枚貝類も含みます。ほかナッツは代表的なツリーナッツは総じてアレルギー表示義務にしています。日本では今回、カシューナッツのみが表示推奨項目になりましたが、消費者目線においては、総じてアレルギー表示義務にすることがより親切なのかもしれません。

食品に添加し使用される二酸化硫黄・亜硫酸塩も表示義務がある点も特徴です。二酸化硫黄・亜硫酸塩が使用されるワイン、果実酒、ドライフルーツ消費量が比較的多いことも背景にあります。

セロリもアレルギー表示義務があるのですが、日本のスーパーで入手できるセロリはアメリカで主流の品種のものがほとんどで、原産地であるヨーロッパのセロリとは異なるものではあります。
 

その他、日本との違い、補足


日本では植物油脂と表記されていることも多いですが、「落花生油(peanut oil)」と正確な成分名の記載が求められています。

品名に含むか、添える義務がある表示事項としては、消費者が、通常、使用または含有されているだろうと考える成分・原材料を他の成分・原材料で代替している場合、代替成分・原材料名を成分リストとは別に、製品名の高さの 75%以上の高さの文字サイズ(最低 1.2mm 以上)で製品名の近くに明確に表示することも規則になっています。

また、製品と異なる動物由来のタンパク質(加水分解タンパク質など)を添加した場合、製品名に添加されたタンパク質とその由来を表示する義務もあります。

そして、食品の情報はすべての食品について人間の病気を防止し、処置し治すことの特性があるとしてはならない、コーヒーや茶をベースあるいはそれらの抽出物をベースとした飲料を除き、150 mg/Lを超えてカフェインを含む飲料の場合は100mL当たりのカフェインの量と「高カフェイン含有、子供、妊婦、授乳中の女性には推奨しない」の表示、飲料以外の食品で、カフェインが生理学的目的で添加されている場合は、100 g/mL当たりのカフェインの量と「カフェインを含む。 子供及び妊婦には推奨しない」の表示をすることとしています。

今後は


表示の見やすさ、栄養表示の義務化、アレルギー誘発物質表示の厳格化、原材料の詳細表示、原産国等の表示拡大を進めており、さらに今後は、アレルギーまたは不耐性を引き起こす物質の混入の可能性、ベジタリアンまたはビーガンへの適性に関する情報、特定母集団に対する栄養素の参考摂取量についてのルールが設けられる予定となっています。

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