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鶏卵のサルモネラに感染しないようにするには?~食中毒

2014.10.25

投稿者
クミタス

サルモネラに感染すると

日本では生卵を食べることは特別なことではありませんが、鶏卵が原因で食中毒をおこし、死亡することさえあります。

原因はサルモネラ・エンテリティディス(SE)などになり、鶏卵以外からの感染機会もありますが、鶏卵においては親鶏が感染し腸や卵巣にサルモネラがすみつくことによって、サルモネラが鶏卵の殻にだけでなく、鶏卵内側にも存在する場合もあります。

汚染された食品を摂取後12~48 時間(摂取菌量、健康状態、年齢によって異なります)の潜伏期間を経て、下痢、腹痛、嘔吐、発熱(38~40℃)、筋肉痛、関節痛、頭痛といった症状があらわれ、便からの排菌は症状が落ち着いてからも続きます。便は緑色がかった色の傾向にあります。
乳幼児の場合には少ない菌量でも腸炎のみならず血中に菌が入り敗血症となり死亡することもあり、高齢者そして大人でも死亡する場合があります。
 

サルモネラ感染予防策とは?


生卵だけが問題ではなく、非加熱もしくは加熱が十分でないアイスクリームや生洋菓子、洋菓子に含まれる卵も汚染食品になり得ますが、サルモネラ感染予防としては以下が挙げられます。

・期限まで余裕のある新しい卵を選ぶ
サルモネラは卵白中には存在しないけれど卵黄に存在する鉄分等を栄養源にして増殖します。割る前から黄味がつぶれてしまっている卵がありますが、鮮度が落ちていたり、日齢の進んだ親鶏の卵の場合は卵黄膜が破れて、卵黄成分が卵白内に移行することがあります。そうするとよりサルモネラが増殖しやすい状態になります。
卵の賞味期限は、卵そのものが腐るか腐らないかではなく、サルモネラが増殖しない期間に準じて設定されています。冷蔵保存下で夏期なら7~10日、春秋期で2週間程度となっています

・15℃以下で保存(できれば10℃以下。冷蔵庫内は大体10℃以下ですが冷蔵庫の開け閉めが多いと卵入れがドア近辺にある場合15℃くらいになる場合があります)
3~4 週間は増殖しないとの報告があります。卵は常温でしばらく腐らなくても20℃以上でサルモネラが増殖します

・ひび割れしている卵は少なくとも生食しない

・卵の殻を洗わない
殻に水分が付着するとその水分がある程度卵の中に吸収されます。水分と一緒にサルモネラが卵の中に入ってしまうこともありますので、水洗いをしない方がよいです。

・卵に水分が付かないようにする
冷蔵庫からパックごと室内に出し入れしている間に寒暖差で卵に水分が付くことがあります。必要な分だけを取り出すようにしましょう。

・卵を布などで強くふかないようにする
卵の表面のクチクラ層がはがれ菌が入りやすくなります。汚れがあり気になる場合は洗ったり、強くこするよりもそっとふき取るようにしましょう。

・卵を割ったらすぐ調理する
卵を割り置きしている間にサルモネラが増殖する可能性が高くなります。

・卵の殻を触った後は手洗いをする
殻を触った手でそのまま生食するものを触らないようにしましょう

・75℃で1分以上、もしくは65℃で5分間以上の加熱
サルモネラは死滅します。

・割った卵の殻はシンクに放置せずにすぐに捨てる
殻に付着したサルモネラがそのまま増殖してしまうことがあります。
 

抗菌のためにおこなわれていること


養鶏場で生産された鶏卵は、鶏卵格付包装施設にて傷卵、血卵などを除き、卵殻表面に付着した汚れを次亜塩素酸ナトリウム(水道水やプールの水の消毒に使用されています)150ppm以上の溶液、または同等以上の効果を有する殺菌剤で消毒、洗卵することが食品衛生法上、基準とされており、オゾン水なども用いられます。抗菌剤は卵の殻から浸透する可能性もありますが、一方、放し飼いや自然卵といった養鶏場の生産卵においては、あえても含め、親鶏のワクチン接種や鶏卵の殺菌、消毒をしてない場合もあります。

親鶏のワクチン接種率は4割程度といわれています。
ワクチン接種をしている親鶏の卵の殻のサルモネラ汚染率は0.18%、卵の中0.04%、ワクチンをしていない場合の卵の殻のサルモネラ汚染率は1.0%、卵の中0.29%とワクチン接種有無で5倍開きがあるという報告もあります(この報告に自然卵も含むかは不明)。

割った後の未殺菌液卵(非加熱など)では、検体の4.0%~12.0%においてサルモネラが検出されています。割り置きするとサルモネラ増殖が進みますが、加熱等で殺菌した液卵からはサルモネラは検出されていないようです。

親鶏へのワクチン接種でもサルモネラを完璧に予防することはできないのですが、薬剤対応をすることのメリットはある一方、生ワクチンの場合鶏卵にワクチン株が移行する可能性もあり、また抗生剤の効かない耐性菌も増えています。
サルモネラ感染源としては6割が鶏卵と言われていますが、国産鶏肉(挽肉)の約2割がサルモネラに感染し、そのうち5種類以上の抗生剤が効かない耐性菌が4割を超えていたという報告もあります(日本では採卵中の親鶏への抗生剤投与は認められていません)。

サルモネラ感染を助長し得る要因


鶏卵のサルモネラ感染の場合、鶏舎の衛生管理や、鶏へのストレス、親鶏の日齢も影響しています。ウインドウレス鶏舎(全自動)であるほうがサルモネラ感染率が高いという意見、鶏に給餌制限ストレスをかけるとサルモネラ感染率が高まる、ワクチンをしていても廃鶏(採卵期間の終わった日齢の進んだ鶏)になるとサルモネラ汚染率は9.6%と高いという報告もあります。

大量生産型では鶏をオールイン、オールアウトする方式が取られることが一般的です。鶏をオールアウトした後に水洗い、消毒をおこないますが、全自動ウインドウレス鶏舎は装置に影響を与えることがあるなど、洗い作業はなかなか容易ではありません。
オールイン、オールアウトとは日齢の同じ若鶏を一気に入れて一気に出すという方式ですが、中小鶏舎の場合、日齢差がある若鶏が同一鶏舎に存在し採卵することもあり、同じ卵パック内に親鶏の日齢の異なる卵が混在する可能性もあります。

採卵にあたり、強制換羽、誘導換羽を実施する鶏舎もあります。強制換羽とは卵を産む能力が衰えた親鶏に10日~2週間、餌を与えず(水も与えないケースもあります)飢餓状態にし強制的に羽を抜けかわらせた後、餌を再開し再び卵をたくさん産めるようにすることで、誘導換羽は低栄養状態にすることですが、ともに採卵期間を延長させるための手法であり、飢餓状態下では免疫力が落ち親鶏のサルモネラ感染率が高まる、そしてSEの鶏卵内侵入率が上がるという意見もあります。
 

何が大事か?


大量生産により低価格で安定供給できる一方、食の安全を考えるうえでは、トレードオフの関係になる事項が多々あります。サルモネラ感染予防としては卵は加熱調理して食べるということが最大の策にはなります。

尚、加熱調理後も冷蔵保存下で2~3日内に食べるのが望ましいです。
新鮮な卵の白身は炭酸ガス量が多く、少し白く濁っているように見える特徴があります。

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