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アレルギー性疾患と睡眠障害②~アトピー性皮膚炎と睡眠障害

2018.06.05

投稿者
クミタス

アトピー性皮膚炎の重症度は、患部の面積、病変部の肥厚度、掻痒感、QOLへの影響の観点でも推し測られる面があり、掻痒感の程度はQOLに影響し、痒み、掻破により睡眠が妨げられますが、症状が緩和していくとともに質の良い睡眠を得られやすくなります。
ただ、慢性的に習慣となった掻き癖により、睡眠中にも無意識に皮膚を掻いてしまうこともあり、皮膚掻破のコントロールはスキンケアとともに、皮膚掻破行動を自覚し、習慣にしないようにすることも有用となります。
皮膚の掻破を抑える
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2506

就寝に際して痒い


アトピー性皮膚炎患者さんのみならず、就寝中に深部体温が低い状態では、手足などの身体周辺部の毛細血管は拡張しており、皮膚表面温度は高くなります。
皮膚に炎症が起きると、神経終末からサブスタンスPが産生され、サブスタンスPにより真皮線維芽細胞から神経栄養因子の1つであるアーテミンが誘導されることがあります。アーテミンはアトピー性皮膚炎や貨幣状湿疹などの病変部に沈着し、皮膚末梢知覚神経の数を増加させるとともに、皮膚の温感を敏感にし、痒みを誘発する可能性が示唆されており、温まると痒くなる要因(の1つ)となっている可能性が考えられています。
アトピー性皮膚炎と発汗
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2733

また、ヒスタミン、トリプターゼ,サブスタンスP、IL-1,IL-2,IL-6、IL-31、TNFα、活性酸素、ECP、MBPなどの起痒因子の中に、夜間に増加するとみられる物質の存在により、夜に痒みが増すことに影響している可能性も考えられています。

睡眠の妨げになることのある要因例として


メラトニンが分泌されると、脈拍や体温、血圧が低下し休息状態に入り、眠気が訪れやすくなりますが、夜ふかしや、寝る直前でのTV、スマートフォン、パソコンなどからの眼への光刺激などにより、メラトニン分泌は減少する面があります。
小児においては、添い寝をすることもありますが、日本では欧米に比べ、添い寝頻度が高いとも言われています。添い寝は母親の睡眠を妨げることもありますが、子供を寝かしつけているうちに、寝かしつけ行動をおこなわないと入眠しにくくなる、また添い寝が日常的になる中で、近くで物音や光などにさらされる場合などは、入眠に時間がかかったり、覚醒する頻度が高くなることもあります。

患児においては、よく眠れるか不安を感じながら入眠する場合、安眠の妨げにもなりますが、小児アトピー性皮膚炎患者さんでの覚醒頻度は、アトピー性皮膚炎患者さんでない小児の覚醒頻度よりも多くなっていた中で、皮膚掻破と関係し ていた覚醒は15%のみとの報告もあり(出典:Sleep Fragmentation in Children With Atopic Dermatitis)、皮膚掻破以外の要因での覚醒も起こっている可能性もあります。

悪夢を起こすことのある薬剤により、睡眠が妨げられることがあり、抗アレルギー薬の中で添付文書の副作用に悪夢、異夢、夢遊症と記載のある製剤もありますが、
アレルギー性疾患と睡眠障害①
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2691
皮膚が痒くて、皮膚をかいて目が覚める以外の覚醒を少なくしていくこともできると尚、望ましいでしょう。

出典・参照:Exacerbating factors of itch in atopic dermatitis ほか

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