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汗によるアレルギー

2018.05.22

投稿者
クミタス

自分の汗成分にアレルギー反応を示す場合があり、アトピー性皮膚炎患者さんや、コリン性蕁麻疹患者さんに比較的見られることがあります。

汗に含まれる成分


汗には電解質、微量のタンパク質、プロテアーゼ(カリクレイン)、プロテアーゼインヒビター(シスタチン)、抗菌ペプチド(ダームシディン)、炎症性サイトカイン等が含まれますが、真菌の1つである、マラセチア グロボーザにより産生されるタンパク質(MGL‗1304)が抗原の1つとなると見られ、ほかにも真菌が産生するタンパク質でMGL‗1304とアミノ酸配列が78%、68%同一のタンパク質にも交差反応を示す可能性が考えられています。

アトピー性皮膚炎患者さん、コリン性蕁麻疹患者さんにおいて


アトピー性皮膚炎患者さんにおいては、汗を皮膚に注射すると皮内反応が陽性に、ヒスタミン遊離試験で陽性となることがあります。成人のアトピー性皮膚炎患者さんよりも、小児のアトピー性皮膚炎患者さんの方が、好塩基球からのヒスタミン遊離の程度と重症度との関連が見られ、重症の小児アトピー性皮膚炎患者さんではより陽性率が高くなる傾向も見られています。

コリン性蕁麻疹患者さんにおいて出現するじんましんは発汗が関与していると見られ、アセチルコリンを皮内投与すると、発汗とともに同様のじんましんが出現することから、アセチルコリンを介するじんましんとみられています。
表皮下の交感神経末端からアセチルコリンが分泌され、エクリン汗腺から発汗しますが、コリン性蕁麻疹患者さんにおいては、アセチルコリンが肥満細胞の脱顆粒を促進することでコリン性蕁麻疹が出現する場合があると考えられています。
また、アセチルコリンの直接関与以外に、アセチルコリンにより発汗が促され、汗管閉塞などで真皮にもれた汗によるアレルギー反応でじんましんが出現する場合もあります。

しかし、発汗により角質の水分量が維持され保湿効果をもたらし、慢性のアトピー性皮膚炎患者さんにおいてもバリア機能保持に重要な役割を果たすと考えられるなど、汗をかくこと自体は有用な面があり、減汗性コリン性蕁麻疹を含めたコリン性蕁麻疹患者さんにおいて、重篤な症状を誘発しない程度の継続的な発汗刺激は、発汗機能の正常化につながり症状が緩和していく可能性も示唆されています。

ただ、汗抗原に反応する場合において、かいた後の汗は、そのままにしておくと汗抗原が皮膚から浸透し、痒みなどの症状を誘起することがあり、悪化因子にもなります。シャワーを浴びるなどで、汗の残留を早めに抑えられるようにしたいですね。

発汗への影響~ステロイド剤、保湿剤、ワセリン
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2181

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