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2018.2.10更新 複数種類の皮膚外用剤を混合する場合の留意点

2018.01.30

投稿者
クミタス

皮膚外用剤の混合により、分離、変質がおこったり、使用して接触性皮膚炎がおこることもあります。
基剤が油性成分のみの油脂性基剤、水性成分のみの水溶性基剤、油性成分と水性成分を含む乳剤性基剤(水中油型(O/W型)、油中水型(W/O型)のクリーム剤、水中油型(O/W型)の乳剤性ローション剤など)、ゲル基剤などがありますが、基剤の特性が変化すると、皮膚透過性が変化したり、混合によりpHが変化し主薬含量が低下する組み合わせもあり、治療効果や副作用に影響する場合もあります。家庭でも複数種類の皮膚外用剤を混ぜて使用する場合、以下などの影響も考えられますので、ご留意ください。

外用剤例~
油脂性基剤の外用剤:亜鉛華軟膏、アズノール軟膏、プロスタンディン軟膏など
白色ワセリンは油脂性基剤になります。
油脂性基剤で液滴分散型の外用剤:アルメタ軟膏、プロトピック軟膏、ボンアルファ軟膏、ドボネックス軟膏、オキサロール軟膏など
水溶性基剤の外用剤:ブロメライン軟膏、アクトシン軟膏、カデックス軟膏、ユーパスタコーワ軟膏など
乳剤性基剤 水中油型(O/W型)の外用剤:ヒルドイドクリーム、パスタロンクリーム、オルセノン軟膏、ゲーベンクリームなど
乳剤性基剤 油中水型(W/O型)の外用剤:ヒルドイドソフト軟膏、パスタロンソフト軟膏、リフラップ軟膏、ソルコセリル軟膏など
乳剤性基剤 水中油型(O/W型)の外用剤:ヒルドイドローションなど


・油脂性基剤で液滴分散型の外用剤との混合
液滴分散型の製剤は練り混ぜると、均一な液滴が破壊され、液滴が合わさって大きくなり、有効成分の含量均一性が低下すると見られており、混合に適さない面があります。

・油脂性基剤の軟膏剤と乳剤性基剤(クリーム剤)の混合
乳剤性基剤(クリーム剤)水中油型(O/W型)、油中水型(W/O型)とも皮膚透過性は油脂性基剤に比べ高く、軟膏剤とクリーム剤を混合すると、軟膏剤の皮膚透過性が増したり、乳剤性基剤(クリーム剤)の保湿効果が減弱することがあります。
参照:ステロイド剤との混合において
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2562

・乳剤性基剤 水中油型(O/W型)との混合
そして、乳剤性基剤(クリーム剤)の水中油型(O/W型)においては、混合により乳化の破壊や空気の混入がしやすく、分離しやすいため、混合に適さない組み合わせもあります。

・ヒルドイドソフト軟膏と白色ワセリンとの混合
ヒルドイドソフト軟膏を白色ワセリンのプロペトで2~4倍に希釈すると、分離しヒルドイドの有効成分の保湿効果が有意に低下し、4倍希釈混合物は、白色ワセリンの単独使用時と保湿効果にほぼ違いが見られなくなる、との報告もあり、ヒルドイドソフト軟膏と白色ワセリンを混合することは、ヒルドイドの保湿効果を下げる可能性があります。

・酸性の外用剤とアルカリ性の外用剤との混合
酸性で安定しているステロイド外用剤と、pH調節剤で基剤をアルカリ性にしているビタミンD3外用薬などのアルカリ性で安定する外用剤を混合すると、pHが変化し、加水分解をおこしてステロイドの含量が低下し、効果の減弱が起こりやすくなります。
(参考:オイラックスクリーム 10% pH 約 7.0~8.7 、ザーネ軟膏 0.5% pH pH 約 7.5~8.4)

・水溶性基剤と油脂性基剤との混合
水溶性基剤は他基剤とは性状が異なり、均一に混合されにくい傾向があり、混合に適しにくい面があります。

・ゲル基剤との混合
混合により分離を起こすことがあるため、ゲル基剤は混合可とされているもの以外は避けるのが望ましいとみられています。


ステロイド外用剤とヒルドイド軟膏の組み合わせでは、混合可能な組み合わせは57%との調査結果もあります。有効成分の吸収が高まるなどで副作用が出やすくなったり、有効成分の吸収量が少なくなり効果が出にくくなるなど、混合による影響がある場合もありますので、お使いの外用剤の使用方法を確認しながら使用できるのが望ましいでしょう。
 

ステロイド剤との混合において
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2562


出典・参照:ヘパリン類似物質製剤の希釈に関する保湿効果の検討
間違いだらけの混合処方
軟膏・クリーム配合変化ハンドブック 第2版

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