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抗IgE抗体について

2018.01.29

投稿者
クミタス

バリア機能破綻などにより、ウイルス、細菌、アレルゲンが体内に入ると、皮膚や粘膜直下の抗原提示細胞が異物として認識します。リンパ球のB細胞は、細菌やウイルスを見つけると形質細胞となり、IgG抗体やIgM抗体を産生し細菌やウイルスを攻撃、排除する免疫反応を起こし、アレルゲンに対しては、形質細胞がIgE抗体を産生したり、リンパ球が直接的に反応するなどが考えられています。
産生されたIgE抗体は、血液中を流れ皮膚や粘膜の肥満細胞(マスト細胞)や好塩基球の表面に付着し、待機する状態(感作)となり、感作した状態で再度アレルゲンが侵入してIgE抗体と反応すると、ヒスタミン、ロイコトリエン等が放出されるなどで、即時型アレルギー反応を示すようになります。

オマリズマブ(商品名:ゾレア)は血中や皮膚内の遊離IgEに結合し、肥満細胞および白血球の一種である好塩基球の活性化などを抑制する抗IgE抗体で、既存治療での症状コントロールが難しいアレルギー性喘息患者さんや、第二世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬で効果不十分な特発性の慢性蕁麻疹患者さんの治療薬として使用されています。
そして最近の、カバノキ花粉(Bet v1)、ミツバチ(Api m 1)、スズメバチ(Ves v 5)に対する特異的IgEレベルが上昇した患者さんの血液細胞などを基にした研究では、ある抗体により免疫細胞上の2つの特異的エフェクター(CD23、FceRI)に対するIgEの結合を防ぐなどで、アレルギー症状の出現を抑制する可能性を示唆しています。この抗体(026 sdab)は、オマリズマブに比べても小さく、注射剤でなくても吸入や服用での摂取の可能性があり、実際にヒトでも有用となれば、喘息薬の開発を加速させられるのでは、としています。
ほかの動向も含め、また新たな情報を掲載していきたいと思います。


出典:Trapping IgE in a closed conformation by mimicking CD23 binding prevents and disrupts FcεRI interaction

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