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アトピー性皮膚炎に罹患した乳幼児の鶏卵摂食について

2018.01.25

投稿者
クミタス

アトピー性皮膚炎に罹患した乳幼児は鶏卵アレルギー発症のリスクが高い傾向があると見られています。食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎においては、まずスキンケアや皮膚症状の改善のための治療がなされます。皮膚症状の改善が見られず、特定の食物摂取が関与する可能性が考えられる場合は、その特定食物について皮膚プリックテストや特異的IgE抗体検査がおこなわれ、特定の食物が原因と考えられる場合は、その食物を1~2週間除去し、症状の改善がみられるかを確認する、食物除去試験がおこなわれます。そして、皮膚プリックテストや特異的IgE抗体検査をおこないながら、適宜診断確定のため食物経口負荷試験へと進みます。

アトピー性皮膚炎に罹患し、鶏卵感作のため鶏卵除去がおこなわわれた乳児で、生後6か月と12か月に卵白とオボムコイドの特異的IgE抗体値が測定され、12か月時に加熱卵パウダー1/2個分で食物経口負荷試験を受けた児29人を対象に、後方視的に特異的IgE抗体値の変化と食物経口負荷試験結果の関連を解析したところ、
オボムコイドの特異的IgE抗体値は6か月時点で食物経口負荷試験で陽性群が有意に高値で、オボムコイドの特異的IgE抗体値の変動と食物経口負荷試験の結果に関連はみられなかったものの、卵白の特異的IgE抗体値は食物経口負荷試験での陰性群にて有意に低下しており、対数変換値で評価した低下程度は、食物経口負荷試験での陰性群が陽性群より有意に大きく、鶏卵アレルギーが疑われるアトピー性皮膚炎があり、生後6~12か月に卵白の特異的IgE抗体値の低下が大きい児は、加熱全卵半分を摂取できる可能性がある、ことを示唆しています。

別の報告では、卵白未摂取のアトピー性皮膚炎乳幼児に、オボムコイドを減量した加熱全卵を含むベビーフードでの食物経口負荷試験(男児24例、女児22例。年齢中央値10.0か月 (9~21か月))をオープン法にておこなったところ、43例 (93.4%)で症状なく全量摂取でき、3例は全量摂取後に軽微な皮膚症状を呈したが、再試験では症状誘発はなかった、としており、オボムコイドを減量した加熱全卵を含有するベビーフードは、アトピー性皮膚炎乳幼児が摂食できる可能性があり、またオボムコイド特異的IgE高値の乳幼児に対する安全性の確認が必要としています。

リスク条件を鑑みつつ、アトピー性皮膚炎に罹患し鶏卵に感作している乳幼児において、卵白の特異的IgE抗体値が大きく低下している児や、オボムコイド減量加熱全卵などでの摂食可能性が伺えるところでもあります。また他の報告も含め、ご紹介していきたいと思います。


出典:乳児アトピー性皮膚炎における鶏卵特異的IgE抗体価変化の診断的有用性
卵白未摂取アトピー性皮膚炎乳幼児に対するオボムコイド減量加熱全卵ベビーフードの安全性
食物アレルギー診療ガイドライン2016

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