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皮膚の掻破を抑える

2018.01.08

投稿者
クミタス

アトピー性皮膚炎などで、皮膚を繰り返し掻いていることで、どうしても掻きたいという時以外にも、無意識にも皮膚を掻いていることも珍しくはないかと思います。掻くことで一時は満足感を得られても、その後のさらなる皮膚状態の悪化と痒みとのスパイラルに陥ることにもなり、皮膚の掻破を統制できることが望ましいことは、多くのアトピー性皮膚炎と向き合う方が思うところでしょう。

習慣逆転療法(habit reversal treatment:HR)は、その習慣となっている行動を抑えていく手法で、まず、無意識におこなっている行動の自覚、その習慣行動をどういったときにするのかの把握、その習慣行動をしそうになった際に置き換えられる別の行動をするようにする、ことなどが主とされています。

アトピー性皮膚炎の患児39人を対象に、補助的な役割としての掻破行動への習慣逆転療法を実施しステロイド(フランカルボン酸モメタゾン)を併用した群、ステロイド(フランカルボン酸モメタゾン)を併用した群とを無作為化比較試験で比較したところ、掻破行動への習慣逆転療法とステロイド(フランカルボン酸モメタゾン)併用群では、3週間の治療終了時、終了後追跡8週時のアトピー性皮膚炎の重症度評価尺度(SCORAD平均スコア)において、より改善していた(P=0.027、0.0038)、との報告がなされています(The positive effects of habit reversal treatment of scratching in children with atopic dermatitis: A randomised controlled study.)。

睡眠中の掻破対策として爪を短くしておく、手袋を活用するなども挙げられますが、日中において掻く頻度が少なるようにしていく対策として、習慣逆転療法での置き換え行動の1つには、皮膚を掻きそうになったら、30秒間手を握りこぶしの状態にする、といった手法などもあります。その頻度を記録しておき、回数が減っていくことで、達成感も感じられるかもしれません。

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