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イソチアゾリノン系防腐剤による皮膚炎

2017.12.21

投稿者
クミタス

イソチアゾリノン系防腐剤は、パラベンに替わり塗料や冷却タオル、ヘアケア製品、ウェットティッシュ、美容液マスク、化粧水など広く使用されており、接触部位に瘙痒性紅色皮疹などがみられることがあります。
皮膚に接触する衣類等にもイソチアゾリノン系防腐剤が使用されることがあり、イソチアゾリノン系防腐剤が防臭目的で使用されていた弾性ストッキングを、下肢静脈瘤に対して5年間着用した65歳男性で、下腿に境界明瞭な紅斑を生じた例も見られています。

東邦大学医療センター大森病院皮膚科でイソチアゾリノン系防腐剤を含む共通アレルゲン2015を貼付した85症例についてアトピー性皮膚炎群と接触皮膚炎群の陽性率を比較したところ、パラベンmixではアトピー性皮膚炎群の陽性率が高く、イソチアゾリノン系防腐剤MI/CMI (Kathon CG) の陽性率は接触皮膚炎群で高値であった、との報告もあります。

印刷工場での印刷に使われる湿し水にイソチアゾリノン系防腐剤が含まれており、接触部位に皮膚炎が起こる場合があるなど、職業上や日常で繰り返し同じものに接触する機会がある方で皮膚炎を生じている場合は、含有されるイソチアゾリノン系防腐剤が原因物質となっている場合もあります。使用中止により症状が軽快することもありますので、心当たりのある方で使用中止が差し支えない方は、いったん中止をしたり、受診し相談できるのが望ましいでしょう。
また冷却(冷感)タオルなどにおいては、ウェットタイプの製品で防腐剤使用タイプの製品以外に、ウェットタイプでなく防腐剤不使用タイプのものもありますので、選択時にご留意頂けると良いかもしれません。

出典・参考:医療用弾性ストッキングに含まれる2-n-octyl-4-isothiazolin-3-one (OIT) による接触皮膚炎の1例
当科で実施したイソチアゾリノン系防腐剤のパッチテスト陽性率と至適濃度の検討 2017 東邦大学医療センター大森病院皮膚科
イソチアゾリノン系防腐剤による接触皮膚炎の4例 (冷感タオルによる1例および美容液マスクによる3例

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