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慢性蕁麻疹と血液凝固反応(2018.1.14更新)

2017.11.12

投稿者
クミタス

(日本では)1か月以上症状の続く慢性蕁麻疹では毎日のように膨疹などの症状が出現しますが、皮膚組織内のマスト細胞からヒスタミンが遊離され、皮膚の微小血管内皮細胞に作用して膨疹が形成されると考えられています。
最近の研究では、慢性蕁麻疹の病態に血液凝固反応が関与するとの示唆がなされており、血管内皮細胞にLPS(リポポリサッカライド)などの微生物由来成分とヒスタミンが同時に作用すると、凝固反応を始める組織因子の発現が相乗的に増加することがわかってきています。
また、血液凝固反応の過程で生じた活性化血液凝固因子により血管透過性が高まることから、血管外に血液成分が漏出して、炎症の増悪、浮腫、膨疹を生じると見られています。

小児においての検討もなされており、蕁麻疹の症状が出現しているときには、血液の凝固活性化マーカーの1つであるプロトロンビンフラグメント1+2が高値となっていたとの報告もなされています(出典・参照:小児蕁麻疹患者の凝固機能異常についての検討)。

特発性の慢性蕁麻疹の治療薬としてゾレアは2017年3月24日に効能追加の承認を取得しています。慢性蕁麻疹においては抗ヒスタミン薬が治療選択肢となることも多いですが、血管内皮細胞の凝固反応を始める組織因子発現は、生理活性物質であるアデノシンによって抑制され得ることも報告されており、血液凝固反応を制御する薬物やアデノシン類似物が、慢性蕁麻疹の治療に有用となる可能性も示唆されています。


出典・参考:【研究成果】慢性蕁麻疹の病態に血液凝固反応が関与する機序を解明
https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/41446
小児蕁麻疹患者の凝固機能異常についての検討

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