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顔料による接触性皮膚炎~再生紙製トイレットペーパー、口紅など

2017.10.15

投稿者
クミタス

報告例として多くはありませんが、トイレットペーパー使用により湿疹が出現する例があり、顔料使用のトイレットペーパーにおいて顔料が原因物質となり、接触性皮膚炎症候群を引き起こすことがあります。
同様に顔料を含むものとしては口紅が挙げられますが、今までには衣類の染料に皮膚炎の症状が出現する例も報告されています。

トイレットペーパー、口紅使用により皮膚炎を生じた54歳女性においては、タール系の油溶性アゾ色素であり橙赤色~深赤色を呈するスーダン色素に陽性反応を示した、と報告されています。スーダン色素は、油、ワックス、印刷などの工業用染料、顔料として使用されており、スーダン色素が原因の皮膚炎の場合は、使用製品に同様に反応を示す可能性があります。

出典・参考:再生紙製トイレットペーパーによる接触皮膚炎症候群の1例

染料、顔料による影響


アゾ染料の一部は皮膚表面や腸内の細菌、肝臓等で還元分解され、発がん性またはそのおそれが指摘されている特定芳香族アミンを生成する可能性があるため、国内では2016年4月1日より、特定芳香族アミンを容易に生成するアゾ染料を使用した繊維や革製品での販売の規制が始まっています。アゾ染料を使用し直接肌に触れる、おしめ、おしめカバー、下着、手袋、靴下、帽子、寝具、床敷物、テーブル掛け、えり飾り、ハンカチーフ、タオル、バスマット及び関連製品などが対象になり、顔料で着色した製品は対象外となっています。

食品を包装するパッケージや紙ナプキンの中には印刷インクが使用されていることがあり、印刷インクに含まれる成分が食品に移行することがあります。
アゾ染料由来である芳香族第一アミン類のうち、発がん性を有するものは特定芳香族アミンと呼ばれますが、印刷インクに芳香族第一級アミン、中でも特定芳香族アミンが含まれる場合は、食品への移行による健康被害リスクが高まる可能性があります。食品保存期間や食品との接触程度、保管条件、食品の特性等にも依り、評価段階ではありますが、心配な方は印刷された包装紙やナプキンで直接食品をくるみ、長期間保管する、といったことは避けるのが望ましいかもしれません。


出典・参考:平成28年4月1日から家庭用品規制法における特定芳香族アミンを容易に生成するアゾ染料の規制が始まります
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000114934.html
特定芳香族アミンを生ずるおそれのある アゾ染料を含有する家庭用品 を巡る状況について
PAAs in colored paper napkins
https://www.foodpackagingforum.org/news/paas-in-colored-paper-napkins
Primary aromatic amines from printed food contact materials such as napkins or bakery bags
https://www.bfr.bund.de/cm/349/primary-aromatic-amines-from-printed-food-contact-materials-such-as-napkins-or-bakery-bags.pdf

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