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ヘーゼルナッツによるアレルギー

2017.09.11

投稿者
クミタス

ヘーゼルナッツにおいては、チョコレート、チョコアイス、チョコスプレッドなどでの使用機会も多く、またミューズリー、グラノーラ、クッキー、炒めもの、カレー、洋風料理などに粒やペーストの状態のものが使用されていることがあります。
ヘーゼルナッツアレルギーにおいては、口腔症状、全身症状、また重症な症状が出現する場合があり、成人での重症例も見られています。
ヘーゼルナッツはカバノキ科ハシバミ属の低木の堅果であることからも、シラカンバ花粉との交差反応性があり、シラカンバ花粉抗原のBet V 1とは67%と高い相同性があります。ほかにプラタナス花粉との交差反応性が考えられています。

ヘーゼルナッツのアレルゲン


ヘーゼルナッツの主なアレルゲンには以下が挙げられ、Cor a 14、Cor a 9はアレルギー診断上も有用なアレルゲンとしてプロバビリティカーブも報告されています。

・2Sアルブミン:Cor a 14
アナフィラキシーを誘発する可能性があり、ヘーゼルナッツアレルギーにおいては主要アレルゲンとなっている可能性があります。11Sグロブリン、7Sグロブリンと同様に種子貯蔵タンパク質でナッツや豆、穀類に共通して見られ、2Sアルブミンは分子量が小さく分子が強い結合で結ばれた安定構造であり、消化されにくい可能性があります。

・11Sグロブリン:Cor a 9
ヘーゼルナッツアレルギーにおいては主要アレルゲンとなっている可能性があります。

・7Sグロブリン:Cor a 11
熱耐性があり全身症状を起こしやすくアレルギー反応を引き起こすアレルゲンとなる可能性があります。

・PR-10:Cor a 1
シラカバ花粉(Bet v1)と関連した花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)のアレルゲンと見られています。

・プロフィリン:Cor a 2
シラカバ花粉(Bet v2)と関連した花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)のアレルゲンと見られています。消化酵素で分解されやすいため顕著な胃腸症状は出にくい面があり、口腔を中心とした症状が見られます。

・LTP:Cor a 8
りんご、桃、アスパラガス、大豆、ピーナッツ、くるみ、クリ、アーモンド、米、小麦、ごま、キウイ、トマトなどにも見られます。胃に存在する消化酵素のペプシンで分解されにくく、熱耐性があり、全身症状を伴い重症化する場合もあります。

・オレオシン:Cor a 12、Cor a 13

ヘーゼルナッツアレルギーの特徴


ヘーゼルナッツにアレルギー症状がある場合に、ツリーナッツすべてにアレルギー反応が出現するとは限らず​、個人により反応する抗原は異なり、

・シラカンバ花粉感作と関連した抗原が原因となっている場合は、口腔を中心とした症状の出現傾向があり、またシラカンバなどカバノキ科植物花粉との交差反応性のある植物にもアレルギー症状が出現する可能性がありますが、アーモンド、ピーナッツ、大豆以外のツリーナッツ、マメ科植物にレルギー反応を示さない可能性があります。
カバノキ科植物花粉との交差反応性のある植物:【バラ科植物】リンゴ、モモ、スモモ、サクランボ(アメリカンチェリー含む)、西洋ナシ、アンズ、アーモンドなど、【セリ科】セロリ、にんじん、【ナス科】じゃがいも、【マメ科】大豆、ピーナッツ、【マタタビ科】キウイフルーツ、【カバノキ科】ヘーゼルナッツ、【ウルシ科】マンゴーなど

・ナッツに共通した抗原が原因となっている場合は、他のナッツの中でアレルギー症状が出現するものがある場合があり、

・上記など複数の抗原が原因

のタイプが考えられます。


ヘーゼルナッツにおいては、他のナッツ同様に皮膚プリックテストがおこなわれることがあります。乳幼児においては血液検査の特異的IgE抗体検査よりも感度が高い面がありますが、年齢が上がるにつれ、皮膚プリックテストの感度が落ちる傾向がある可能性も示唆されています。また皮膚プリックテストにおいてもアナフィラキシーが起こる場合がありますので、微量摂取時に症状出現したと思われる方は、検査前にその旨も伝えられるのが望ましいでしょう。
また新たな情報もアップデートしていきたいと思います。


出典・参考:バラのソフトクリームでアナフィラキシーを呈したPollen Food Allergy Syndromeの1例
ナッツ類のプリックテストでアナフィラキシーを生じた1例 ほか

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