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チャタテムシと喘息

2017.09.06

投稿者
クミタス

虫による刺咬、吸血が原因で、また虫の毛や虫体、分泌物に接触してアレルギー反応が起こることがあり、吸入によりアレルギー反応を示すこともあります。

刺咬性節足動物による刺咬:ハチ、ムカデ、クモ、サシガメ、サソリなど
吸血性節足動物による吸血:カ、ブユ、ヌカカ、アブ、ノミ、トコジラミ、ダニ(マダニ、ツツガムシ、シラミダニ、ツメダニなど)など
有毒鱗翅類の有毒毛との接触:ドグガ類、イラガ類など
虫体・糞・分泌物を吸入:ダニ(ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ)、ガ、ユスリカ、チャタテムシ(ヒラタチャタテ)、ゴキブリ、トビケラなど

チャタテムシによる喘息誘発可能性


2017年7月に、県立病院の手術室や病室でチャタテムシが発生(各部屋 数匹~10匹程度)したことで、手術が中止されたことは記憶に新しいところかと思います。

チャタテムシは、体長1~2mm程、好適条件として温度25~29℃、湿度75%以上の湿度の高い場所を好み、室内塵中に多く見つかります。書籍棚、食品のカビなどを食べて増殖し、本の頁の間、また鰹節、乾麺、穀物粉、ミックス粉、穀類、寝室、日当たりの悪い部屋、畳の部屋などアスペルギルス属菌などが発生している場所にチャタテムシも見られ、チャタテムシはダニに捕食されるため、チャタテムシがいる場所にはダニも増えやすくなります。チャタテムシはダニと違いヒトを刺咬することはないと見られています。

チャタテムシには翅のある種類もあり有翅チャタテムシ類が室内で発生することがありますが、無翅のヒラタチャタテ(チャタテムシ目コナチャタテ科)の抗原の1つLip b1は、吸入性アレルゲンとなり、喘息症状を誘発する可能性があります。

アトピー型喘息患者さん185名のうち、ヒラタチャタテ特異的IgE抗体価が陽性の方は33名(18%)、また小児喘息患者さん51名のうちチャタテムシCAP-RAST陽性率は23.5%で、セスジユスリカへの陽性率と同等、カイコガ39.2%よりは低いですが、クロゴキブリ、チャバネゴキブリへの陽性率15.7%より高く、感作した児において抗原吸入誘発試験により喘息発作が誘発されているとの報告もあります。

ヒラタチャタテを摂食した場合の影響に関する試験では、小麦粉に混合したヒラタチャタテ成虫1,250頭を油で揚げた被験食を1日1回、3日連続で摂取したところ摂取の前後で血圧、血液検査における指標は基準値の範囲内であり、有意な変動は見られなかった、との報告もありますが、ほかの報告等も今後ご紹介できればと思います。

出典・参考:東京都内の住宅におけるチャタテムシの分布およびアレルギーを起こす節足動物と真菌類の調査
室内環境中のダニ・昆虫とアレルギー疾患
室内塵中に最も普遍的に認められる微小昆虫・ヒラタチャタテの吸入性抗原としての独自性と交差性
小麦粉に混合したヒラタチャタテの摂取における体調への影響
エタノールがヒラタチャタテLiposcelis bostrychophilaに及ぼす影響

開封後の粉製品のダニ繁殖を抑えるのに適した温度とは?
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2125

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