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【2017.8.24更新】ピーナッツの経口免疫療法による長期での効果可能性~プロバイオティクスとの併用一例

2017.08.18

投稿者
クミタス


オーストラリアでの研究では、ピーナッツにアレルギーのある1~10歳の子供62人に、18か月間、少量のピーナッツタンパク質とプロバイオティクスのラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)を1日1回与え、対照群(プラセボ)と比較したところ、2週間後の時点では少量のピーナッツタンパク質とプロバイオティクスのラクトバチルス・ラムノサスの摂取群では82%がピーナッツを摂取でき、対照群(プラセボ)でピーナッツを摂取できたのは4%、
その4年後に、少量のピーナッツタンパク質とプロバイオティクスのラクトバチルス・ラムノサスを摂取していた24人と、両方とも摂取していない対照群(プラセボ)24人を対象に再度調査をおこなったところ、ピーナッツタンパク質とプロバイオティクスを摂取していた群24人中16人(66.7%)は継続してピーナッツを食べ続けられており、一方対照群(プラセボ)で継続してピーナッツを食べ続けられていたのは24人中1人であった、
ピーナッツを摂取した際にアレルギー反応があったのは、ピーナッツタンパク質とプロバイオティクスを摂取していた群24人中4人、対照群(プラセボ)では24人中6人で、アナフィラキシーは認めなかった、ことを報告しています。

プロバイオティクスの関与可能性


ラクトバチルス・ラムノサス(LGG)は、LGG乳酸菌とも呼ばれ、LGG乳酸菌を使用したヨーグルト製品などもありますが、体表に線毛(Pili)があることで腸表面に付着しやすく腸に長くとどまりやすい特徴があります。アトピー性皮膚炎、下痢、インフルエンザ、風邪等での関与可能性について、さまざまな研究がなされていますが、マウスでの研究では腸内共生細菌の一つであるクロストリジウム属菌において、粘膜のバリア機能を高めるサイトカインIL-22を腸管で誘導することにより、食物アレルゲンの血中への流入を抑制し、食物アレルゲンへの感作から保護する可能性を示唆する報告もあります。

今回の研究では、ピーナッツタンパク質とプロバイオティクス摂取群と、ピーナッツタンパク質のみ摂取しプロバイオティクスを摂取していない群との比較ではないこともあり、実際にプロバイオティクスがどのような役割を果たしているか不明な面がありますが、経口免疫療法実施例での長期での効果に関する報告として見つつ、新たな研究もまたご紹介していきたいと思います。


Probiotic and peanut oral immunotherapy: a breakthrough for allergy treatment
Long-term clinical and immunological effects of probiotic and peanut oral immunotherapy after treatment cessation: 4-year follow-up of a randomised, double-blind, placebo-controlled trial
Gut bacteria that protect against food allergies identified

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