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【2017.9.7更新】B細胞とアレルギー

2017.05.30

投稿者
クミタス

基礎疾患のある方で治療のために薬剤を使用する方は少なくありませんが、アレルギー症状のある方が自己免疫疾患の治療薬を使用した場合、どのような影響があるのでしょうか?

イブルチニブは日本では再発または難治性の慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫に経口投与される薬剤ですが、イブルチニブを継続使用する患者さんにおいて、ネコやブタクサへのアレルギー反応性が低下する可能性について報告しています(Ibrutinib, a Bruton’s tyrosine kinase inhibitor used for treatment of lymphoproliferative disorders, eliminates both aeroallergen skin test and basophil activation test reactivity)。

B細胞の役割を阻害


多くの自己免疫疾患の病態形成において、免疫系の活性化を制御するT細胞の異常な活性化による影響が挙げられますが、自己免疫疾患の患者さんからB細胞を除去すると病態が改善する可能性があることがわかってきています。
B細胞はIgE、IgG、IgMを産生しますが、抗体を産生しT細胞に抗原を提示するB細胞も、病態形成に重要な役割を果たしていると言えます。

イブルチニブはブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTK阻害剤)であり、ブルトン型チロシンキナーゼは酵素で、B細胞の成熟、生存を制御する細胞内シグナル伝達に大きく関与しますが、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤はB細胞の成熟、生存シグナルを阻害することになります。
自己反応性のB細胞が除去される、不活化されることは免疫系の自己寛容の成立に重要になりますが、B細胞の成熟、生存シグナルを阻害するような働きにより、アレルギー反応の出現機会が低減する可能性があるかもしれません。

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