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茶のしずく石鹸(加水分解コムギ)によるアレルギー~小麦アレルギー

2017.05.16

投稿者
クミタス


ご存知の方も多くいらっしゃること思いますが、茶のしずく石鹸によるアレルギーとはどのようなものなのか、改めてまとめたいと思います。

■茶のしずく石鹸等に含まれた加水分解コムギ(グルパール19S)による即時型コムギアレルギーの診断基準

以下1、2、3を満たしている場合に茶のしずく石鹸による小麦アレルギーと診断されます。

1.加水分解コムギ(グルパール19S)を含有する茶のしずく石鹸等を使用したことがある。

2.加水分解コムギ(グルパール19S)を含有する茶のしずく石鹸等を使用して数分後~30分内に痒み、眼瞼浮腫、鼻汁、膨疹などが出現、または小麦製品摂取後4時間内に痒み、膨疹、眼瞼浮腫、鼻汁、呼吸困難、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、血圧低下などの全身症状が出現

3.グルパール19S(~0.1%溶液)に対してプリックテスト、特異的IgE抗体、好塩基球活性化試験のいずれか1つ以上が陽性


■茶のしずく石鹸使用者の中で小麦アレルギーになった方の割合(概算)

あくまで報告された(非受診者除く)患者数ベースでは、患者割合は以下概算となっています。

約0.045%
2013年12月までに報告された患者数2,078人/販売された人数約4,667,000人

約0.035%
2013年12月までに報告された患者数2,078人/販売された人から石鹸を配られて使用した人数を含めた人数約5,909,000人


■茶のしずく石鹸でなぜ症状出現するようになったのか?

茶のしずく石鹸においては含有する加水分解コムギ末がアレルギー症状の原因物質と見られていますが、同様に加水分解コムギ末を含有する化粧品、医薬部外品は他にもあり、回収に至っている製品もあります。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/cyanoshizuku/dl/06.pdf
茶のしずく石鹸は販売数の多さからも小麦アレルギー発症例が増えることとなりましたが、症状誘発要因となった製品の特性も見られています。

・加水分解コムギ(グルパール19S)の 含有濃度が他の製品に比べ高く、また分子量の大きいタンパク質が含まれていた
・加水分解コムギグルパール19Sの製造過程でアレルゲン性が強化された可能性
(強酸化でグルタミンが脱アミド化されグルタミン酸になることでアレルゲン性が強化されたなど)
・比較的アレルゲンが吸収されやすい眼や鼻の粘膜に石鹸が付着しアレルゲンを吸収しやすくなっていた可能性
・石鹸の主成分である界面活性剤の影響で皮膚のバリア機能が低下しアレルゲンが吸収されやすくなっていた可能性

茶のしずく石鹸による小麦アレルギーにおいては、もともと小麦を摂食してアレルギー症状のなかった方においての小麦アレルギーの新規発症例が多く見られ、茶のしずく石鹸の使用後に加水分解コムギ(グルパール19S)へのアレルギーを発症し、その後に小麦摂食時に小麦タンパク質へのアレルギー症状が出現するようになった方もいらっしゃいますが、症状の出現状況としては、約30%の患者さんでは洗顔時の症状を自覚せず、56%で小麦摂取後の運動により症状出現、16%は非ステロイド性抗炎症薬の摂取が加わることで症状出現したとの報告もなされています。

コムギへの反応が軽減してきている方もいらっしゃることと思いますが、茶のしずく石鹸を使用経験者で加水分解コムギへのアレルギー症状がみられている患者さん、またはアレルギーの数値が高く小麦製品の摂取を控えている患者さん10名にオマリズマブを3か月間投与したところ、小麦による白血球活性化が抑制された、との短期投与臨床試験を経て、2015年10月から20名を対象に長期投与試験が順次進めらています(小麦アレルギー患者における抗IgE長期療法の有効性の検討)。

今後もまた状況をご紹介していきたいと思います。

小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシーについて
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1861

出典・参考:茶のしずく石鹸等に含まれた加水分解コムギ(グルパール19S)による 即時型コムギアレルギーの診断基準 (化粧品中のタンパク加水分解物の安全性に関する特別委員会作成 2011.10.11)
FAQ(一般の方向け)20131010 改定 

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