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家庭で動物と同居することはどんな影響をもたらすのか?

2017.04.20

投稿者
クミタス

動物のフケ(皮膚)、唾液、尿などがアレルゲンとなり、ネコやイヌ、ハムスター、鳥などの抗原に感作、アレルギー症状が出現する方は少なくなく、また鳥餌の雑穀にアレルギー症状が出現した例なども見られています。
鳥餌とアレルギー
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2041

食物アレルギー、またはアトピー性皮膚炎の発症歴があり、喘息未発症の2歳未満の児305名のうち、イヌ所有率10%、ネコ所有率1%であったが、イヌ皮膚IgE陽性は42%、ネコ皮膚IgE陽性は22%であり、1年後にはイヌ皮膚IgE陽性は48%、ネコ皮膚IgE陽性は27%と所有率を上回っていた、との報告(出典:食物アレルギー/アトピー性皮膚炎を持つ乳幼児コホートにおけるペット感作率の検討)もあり、
家庭で当該動物と同居中でなくても、ペット飼育歴のある実家に帰省時や近隣地域で飼育されている動物に接触する等でも抗原に感作することはあります。ネコアレルゲン等においては半年など一定期間室内に残存するとも見られ、過去飼育歴がある場所、場所に存在していた衣類、寝具等経由での感作可能性や、浮遊可能なサイズのため飼育歴のない場所での感作可能性もあります。

2009年~2012年に出生した746人の乳児の生後3か月時に採取した糞便試料を分析し、家庭でのペット飼育有無で比較したところ、妊娠中にペット飼育している家庭、妊娠中と出産後の両方の期間にペット飼育している家庭、ペット飼育経験無の家庭の乳児では、腸内細菌によっては生後3か月時で違いがあることを報告しており、妊娠中、また妊娠中と出産後の両方の期間にイヌやネコなどの毛で覆われた動物を飼育している家庭の児では、オシロスピラ(Oscillospira)、ルミノコッカス(Ruminococcus)属の菌が腸内で増えていることを指摘しています。
補足:妊娠中にのみペット飼育している家庭は 8%(イヌのみ48.3%、ネコのみ36.1%、イヌとネコの両方8.3%、ほかの毛に覆われた動物7.3%)
妊娠中と出産後の両方の期間にペット飼育している家庭 8%(イヌのみ44.1%、ネコのみ33.8%、イヌとネコの両方20.1%、ほかの毛に覆われた動物2%)
(出典:Exposure to household furry pets influences the gut microbiota of infants at 3~4 months following various birth scenarios)。

動物と同居していなくても感作の機会はあるものの、発症している方が家庭にいらっしゃる場合は抗原回避がまず優先される対策となるところではあります。出生3か月までの児と動物が同居することにより腸内細菌に変化をもたらす場合、その変化がその同居動物の抗原への症状出現に影響するのか、交差性のある他抗原への反応や他のアレルギー性疾患への影響はどうなのか、またアップデートしていきたいと思います。

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