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ごく微量の場合の継続的な摂取と完全除去

2017.03.14

投稿者
クミタス

乳においては卵や小麦と比較すると、摂取可能量の漸増に時間を要する場合もありますが、経口負荷試験を経て、牛乳3ml未満、卵白、牛乳、うどん1gといった微量の場合においての継続摂取と一時的に除去して再度経口負荷試験をする場合において、どのような違いがあるのでしょうか?

2012年4月~2015年9月に牛乳の経口負荷試験を複数回実施した93人を対象に、初回経口負荷試験後の牛乳摂取状況により
完全除去群27人
牛乳2ml相当未満を含有する食品を継続摂取した微量摂取継続群40人
では、
年齢、性別、初回経口負荷試験における症状レベル(ASCA)/総負荷タンパク質量、次回経口負荷試験までの間隔(471日、435日)に有意な差はなく、完全除去群では初回と2回目の症状レベル(ASCA)/総負荷タンパク質量に有意な差は見られなかったが、微量摂取継続群では2回目の食物経口負荷試験の症状レベル(ASCA)/総負荷タンパク質量において低下した、牛乳微量摂取を1年以上継続することにより、牛乳アレルギーの重症度が低下することが示唆された、と報告(出典:継続的な乳微量摂取は負荷試験の重症度を低下させる)
「アナフィラキシー スコアリング あいち:Anaphylaxis Scoring Aichi(ASCA)

平成23年度のゆで卵白、牛乳、うどん負荷陽性者477人中1g指導を行なった28名(平均4.0歳)を指導群、負荷が同等の結果であっても主治医判断で完全除去を指導した25名(平均2.0歳)を除去群として、1年後、2年後の摂取量を目標量(3歳以上でゆで卵白40g、牛乳、うどん200g、3歳未満はその1/2量)との割合で評価したところ、1年後の摂取量中央値は、指導群で目標量の9%、除去群で0%(p<0.001)
ただし除去群は指導群よりも年齢が有意に低く(p<0.001)、除去群の一部では1年後以降に再負荷を含む食事指導を行った結果、2年後の摂取量が目標量の5%となり、指導群の29%と有意差は認められなかった
1g摂取開始指導は重篤な症状を誘発することなく実行でき,一部の症例では摂取量の大幅な増加が認められた一方、年少児においてはしばらく除去継続を指導しても摂取量はキャッチアップできることも示唆された(出典:食物経口負荷試験後1g摂取開始指導の検討)

2012年6月~2013年11月にうどん2gの食物経口負荷試験を施行した81例(年齢の中央値3.6歳、抗原特異的IgE抗体価の中央値は小麦29.0Ua/ml、微量負荷試験の陽性率は44.4%)
牛乳3mLをカボチャに混ぜ加熱した負荷食による試験を施行した161例(年齢の中央値4.8歳、抗原特異的IgE抗体価の中央値は牛乳31.1Ua/ml、微量負荷試験の陽性率は54.7%)
陰性であれば摂取量を決めて小麦を含む調味料、バター、マーガリン等の自宅での日常的な摂取を許可し
小麦や牛乳の摂取で即時症状の既往があり微量負荷試験が陰性となった症例は、1年後に小麦7例中4例で小麦を自由に摂取できるようになり、
牛乳6例中2例で牛乳25mLまでの摂取が可能となった
小麦・牛乳の完全除去症例に対して微量負荷試験を行うことにより約半数の症例で微量の加工品を摂取できるようになり完全除去を中止できた(出典:小麦・牛乳を完全除去せざるを得ない食物アレルギー児への微量負荷試験・導入の試み)

食品に含有する他成分の影響、最終製品中の抗原性程度、ごく微量の場合、摂取量の誤差による影響可能性等が考えられることもあるかもしれませんが、微量での継続摂取と完全除去では、1年後以降の摂取可能量にどの程度影響するか、については他報告も含めお送りしたいと思います。


出典:継続的な乳微量摂取は負荷試験の重症度を低下させる
あいち小児保健医療総合センター
食物経口負荷試験後1g摂取開始指導の検討
あいち小児保健医療総合センター
小麦・牛乳を完全除去せざるを得ない食物アレルギー児への微量負荷試験・導入の試み
国立病院機構相模原病院小児科、国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾疾患研究部

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