1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

人気記事

花粉の飛散しやすい条件例と制御

2017.02.27

投稿者
クミタス


花粉は水分を吸収して膨張し、大気中に浮遊する汚染物質である硫酸塩、硝酸塩などの酸性の粒子が弱アルカリ性の花粉に付着すると、花粉外部が損傷、剥離し、さらに花粉が水分を吸収し破裂して花粉表面に主に存在する抗原のCry j 1、内部に主に存在する抗原のCry j 2が放出されるとも考えられています。そのため降雨時に花粉は破裂しやすく、翌の晴れた日に破裂した花粉が大気中に飛散しやすくなり飛散量が多くなる可能性が考えられています。

また、花粉が自動車にひかれるなどでも破裂し、また自動車の排気ガスが花粉に吸着する可能性があるとも見られ、特に都市部においては破裂した花粉に曝露する機会が多くなる可能性があり、大気中に浮遊する物質が付着した花粉を吸着することでの影響も考えられます。

花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)の制御


花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)の主な症状としては、花粉抗原への感作を経て花粉抗原に曝露直後のくしゃみといった抗原特異的IgE抗体反応、Th2サイトカインの関与が考えられる鼻粘膜への好酸球浸潤下での鼻閉(鼻づまり)などが挙げられます。鼻アレルギー診療ガイドライン2016では、重症度、主症状などに合わせより適した薬の選択について示されています。

鼻炎症状のある方の中で血清中の特異的IgE抗体が陽性でない方もいらっしゃいますが、鼻水中の特異的IgE抗体が陽性の場合がある、との海外での報告もあり、このタイプの方においても花粉暴露後に同様に症状出現するとの意見もあります。
鼻の炎症症状を繰り返すうちに鼻粘膜が慢性的に肥厚して、温度変化といった刺激に対しても過剰な反応を起こすようになる場合もあります。
症状程度に個人差もあるところですが、受診率としては花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)で3割超の方で受診していないとの調査結果もありますが(アレルギー性鼻炎治療に対する実態調査:2014年厚生労働科学研究(3080名のアレルギー性鼻炎患者を対象に調査を実施(千葉大、三重大)))、花粉飛散が始まる時期にくしゃみ、鼻水、鼻閉(鼻づまり)といった症状や睡眠障害などがある場合は、まず抗原暴露量の低減をおこない、適した治療を進められるのが望ましいでしょう。

Th2サイトカインの1つ、IL-31はアトピー性皮膚炎の症状と関連があり、かゆみを引き起こすTh2サイトカインと考えられていますが、アレルギー性鼻炎においてもIL-31などのTh2サイトカインの関与可能性が考えられています。
IL-31は他のTh2サイトカインと共同的に働き、炎症時の粘液過分泌などアレルギー性鼻炎の炎症の増悪を引き起こしている可能性があるとも考えられています。

メカニズムについての諸々の見解が見られる中で、また改めて花粉感作と発症について、スギ花粉の舌下免疫療法の実績についてもお送りしたいと思います。


出典:花粉飛散時における環境汚染物質の影響とアレルゲン物質の放出挙動 
黄砂飛来後の高水時におけるスギ花粉破裂現象とそれに伴うアレルゲンの溶出機構
トピックス1. 眼科領域におけるアレルギーと環境因子 : 環境汚染によるアレルギー性結膜炎の増悪作用(XVI. 環境因子とアレルギー,専門医のためのアレルギー学講座)
バイオエアロゾルのCCN・IN能
Effects of Interleukin-31 on MUC5AC Gene Expression in Nasal Allergic Inflammation
IL-31を介したアレルギー性鼻炎の制御機構の解明

    {genreName}

      {topics}