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スギ花粉症、ヒノキ花粉症について 2017.3.10更新

2017.02.24

投稿者
クミタス

スギ花粉、ヒノキ花粉の共通抗原性


スギ花粉、ヒノキ花粉の両方に花粉症の症状があり、スギ花粉の飛散時期からヒノキ花粉の飛散時期辺りまで症状が続く方もいらっしゃっいますが、スギ花粉の主要抗原(アレルゲン)Cry j1、Cry j2、ヒノキ花粉の主要抗原(アレルゲン)Chao 1、Chao 2とは相同性があり交差反応を示すと見られており、スギ花粉症の方の約70%でヒノキ花粉症を併発しているとの意見もあります。

スギ花粉症免疫療法は、ヒノキ花粉症にも有効となるのでしょうか?

ヒノキ花粉の新規アレルゲン


ヒノキ花粉症合併のスギ花粉症患者に舌下免疫療法(季節前季節中投与法で維持期に週1回(スギ花粉2000JAU))を行った55例を対象に、スギ花粉、ヒノキ花粉の飛散期に1週間を単位として、くしゃみ、鼻汁、鼻閉の3項目の10cm長のvisual analog scale(VAS)についてスギ花粉、ヒノキ花粉の飛散期中で最も悪かったVASを採用したところ、
スギ花粉期のVASは0cm 11例(20.0%)、1cmまで19例(34.5%)、2cmまで22例(40.0%)
VAS平均ではスギ花粉期(3.6±3.2cm)はヒノキ花粉期(2.6±2.7cm)より大きかったものの有意ではなかったが、VASがスギ花粉期よりヒノキ花粉期に少しでも悪化した例は20例(36%)
スギ花粉に効果的と想定したVAS 2cmまでの22例でのヒノキ花粉期のVASは、引き続き良好が9例、ごく少し悪化が5例、明らかに悪化が8例
との報告など、​スギ花粉症の舌下免疫療法は日本で使用されるようになっていますが、スギ花粉症の舌下免疫療法は、ヒノキ花粉症においては、効果的な例と効果不十分の例が見られるとの報告もなされています。

ヒノキ花粉には新たな抗原のChao 3が発見されています。このChao 3はChao 1、Chao 2とも分子量が異なっており、Chao 3といったスギ花粉と交差反応性がないと考えられる抗原による反応であることは、スギ花粉症の舌下免疫療法がヒノキ花粉症に有効でない場合の要因の1つとなる可能性もあります。

スギ花粉の飛散期と重なりつつヒノキ花粉の飛散は始まり、5月ごろには飛散花粉の種類はさらに多くなります。複数抗原にアレルギー反応を示している場合もありますので、症状がある状態において、暴露量低減対策の継続は望ましいでしょう。


花粉の時期はいつから・いつまで?~花粉カレンダー~
https://www.ssp.co.jp/alesion/allergy/calendar.html

都道府県別スギ・ヒノキ人工林面積(平成24年3月31日現在)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/kafun/pdf/sugihinoki_menseki.pdf

出典・参考:スギ花粉症に対する舌下免疫療法のヒノキ花粉症への効果
新規ヒノキ花粉アレルゲンChao 3の発見
春季花粉症の病態と治療におけるヒノキ花粉のインパクト

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