1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

インフルエンザワクチン成分に対する反応可能性(2017.2.27更新)

2017.01.31

投稿者
クミタス


インフルエンザワクチンにはオボアルブミンが微量に残存するもの、抗インフルエンザウイルス薬には乳たんぱく質を含む乳糖水和物が使用されているもの(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(イナビル吸入粉末剤20mg)、ザナミビル水和物(リレンザ))等があります。

ただし、鶏卵、乳タンパク質にアレルギー症状が出現する方においても、接種・摂取後に症状出現するとは限らず、ほかにもワクチンにアレルギー反応を示す原因として考えられているものに、ワクチン主成分、防腐剤のチメロサールやフェノキシエタノール、添加物、抗菌成分等の可能性があります。

インフルエンザワクチン成分に対するIgE抗体


インフルエンザワクチンを接種して、アナフィラキシーが発生した患者さんにおいてチメロサールやフェノキシエタノール、オボアルブミンなど鶏卵タンパク質抗原に対する特異的IgE抗体が検出されずに、血清中にワクチン抗原に対する特異的IgE抗体が検出されたとする報告もあり、ワクチン成分へのアレルギー反応の可能性が考えられるとの示唆もあります。

3価から4価になったことで


2015-2016から3価から4価ワクチンとなり、インフルエンザワクチンに含まれるタンパク質量が240μg/mL以下から400μg/mL以下へと1株分増量となりました。副反応については以下に記載があり、2016年10月より副反応(有害事象)として報告すべき症状・疾病に、接種から28日以内に生じた視神経炎・脊髄炎が追加となっています。

インフルエンザワクチンの 副反応報告状況について 
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000129916.pdf

ワクチンの剤型


インフルエンザワクチン摂取後に何らかの症状がある場合においては、迷走神経反射などアレルギー症状でない場合、基礎疾患の症状が強く出る場合、インフルエンザワクチンとの関連性が低い場合や見分けがつきにくい場合等もあります。

平成25年度にインフルエンザワクチンを希望し当該ワクチンの接種歴のない重症の鶏卵アレルギー児(①鶏卵完全除去中で卵白またはオボムコイド特異的IgE値がスコア4以上の児9名、②鶏卵摂取にてSampson分類でGrade III以上の強いアナフィラキシー症状の既往のある児8名)にインフルエンザワクチン接種前に10倍希釈ワクチン液でプリックテストを施行し、2分割接種を行ったところ、のべ33回接種を行い接種後の副反応は、分割接種30分以内、24時間以内とも認めなかった(出典:当施設でインフルエンザワクチンを接種した重症鶏卵アレルギー児に関する前向きケースシリーズ研究 昭和大学医学部小児科学講座)等の報告もあり、鶏卵アレルギー児においても、インフルエンザワクチン接種は必ず不可というわけではないところでもあります。

インフルエンザワクチンは、海外においては皮下注射以外の剤型による接種が可能であるのに対し、日本においては皮下注射での接種が主になりますが、異なる剤型によりTh2応答寄りの免疫応答でないものであったり、副反応がより起こりにくくなる可能性もあります。
ただ、皮内注射においては、アトピー性皮膚炎患者さんにおいて、有効性が低減する可能性についての海外での報告もあります(出典:A clinical trial of intradermal and intramuscular seasonal influenza vaccination in patients with atopic dermatitis)。

薬剤の動向や評価は変化しますが、またご紹介していきたいと思います。


出典・参考:インフルエンザワクチンの副反応報告状況について (平成27年10月1日から平成28年4月30日報告分まで)
インフルエンザ HA ワクチン“化血研”TF アナフィラキシー副反応原因調査報告
2012年5月25日 平成24年度第1回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第1回インフルエンザ予防接種後副反応検討会及び第1回子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会 議事録
インフルエンザスプリットワクチンの限界と新規ワクチンの開発
当施設でインフルエンザワクチンを接種した重症鶏卵アレルギー児に関する前向きケースシリーズ研究 昭和大学医学部小児科学講座
A clinical trial of intradermal and intramuscular seasonal influenza vaccination in patients with atopic dermatitis

    {genreName}

      {topics}