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気道閉塞を生じる食物の誤えん

2016.12.06

投稿者
クミタス

食品を気道に詰まらせることでの窒息事故は毎年発生しており、2015年での死亡者数は4,686人、交通事故死、浴槽内、浴槽への転落による溺死及び溺水と近い数値となっています。

気道閉塞を生じる食物の誤えんによる死亡は年齢別では、1~4歳で6人、15~29歳で2人、30~44歳で18人、45~64歳で236人、65~79歳で786人、80歳~で1,553人と高齢者での発生数は高いものの30~40歳代から増えていることがわかります(平成27年 人口動態調査)。

食品安全委員会および設置の食品による窒息事故に関するワーキンググループでは、1億人がその食品を一口、口に入れるとして、その1億口あたりで窒息事故が起こる頻度を、「一口あたり窒息事故頻度」として算出し、

一口あたり窒息事故頻度=窒素事故死亡症例数(1日あたり)/平均1日摂取量÷一口量×人口

高い数値であるほど、窒息事故の発生頻度が高くなり、高い順に
餅:6.8~7.6
ミニカップゼリー:2.3~5.9
飴類:1.0~2.7
蒟蒻入りミニカップゼリー:0.14~0.33
パン:0.11~0.25
肉類:0.074~0.15
魚介類:0.055~0.11
果実類:0.053~0.11
米飯類:0,046~0.093
単位:×1億分の1
との試算を示しています。

どの食品にも言えますが、しっかり噛まない、噛めないまま飲み込んでしまったり、勢いよく崩れないまま喉に入りやすいと詰まりやすくなり、また口の中の水分が少ない状態では、気道に詰まった際に吐き出しにくくなります。

餅については冷めると硬くなり不着性が高まり、また蒟蒻入りゼリーにおいても常温保存状態よりも冷えたものの方が、硬く不着性が高まるとの実験結果もあります(「厚生労働科学研究補助金 総括研究報告 食品による窒息の現状把握と原因分析研究」 より)。

食物誤えんによる気道閉塞発生は基礎疾患のある方の方が多く、特に高齢者に見られるとの示唆もあり、歯の欠損や噛み合わせ不良、認知機能低下も咀嚼に影響する要因の1つとなり得ます。

基本的なことではありますが、箸やスプーンで触ってみて、切り分けにくい、形が崩れにくいと感じた場合は、柔らかい状態にしたり、口に入れる量を減らしたりして、崩れた状態でゆっくり飲み込めるようにし、誤えんを防いでいきたいですね。

出典:評価書 食品による窒息事故 食品安全委員会
厚生労働科学研究補助金 総括研究報告 食品による窒息の現状把握と原因分析研究 
参考:食品SOS対応プロジェクト報告 -こんにゃく入りゼリーを含む食品等による窒息事故リスクの低減に向けて-

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