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麹菌のはたらきと活用

2016.11.04

投稿者
クミタス

麹菌と酵素


様々な発酵食品がありますが、その発酵に関わる3大微生物はカビ類、酵母類、細菌類であり、それぞれの発酵物として以下が挙げられます。

カビ類:みそ、醤油、テンペ、豆腐よう、チーズ(ブルー、カマンベール、ロックフォールなど)
酵母類:パン、ビール、ワイン
細菌類:納豆、発酵乳、酢、チーズ(チェダー、ゴーダ、カッテージなど)

発酵に関わるカビの代表格はコウジカビであり、様々な種類があります。
コウジカビの一種の麹菌も胞子が発芽して菌糸を伸ばす、を繰り返し増殖しますが、自身の増殖に必要な栄養を得るために菌体外に酵素を分泌生産します。
米麹は麹菌を種菌として米に植え付けるようにし、麹菌が自ら分泌生産する消化酵素を使い、米のでん粉質をぶどう糖に分解する等し栄養を得て増殖したものになります。
麦で増殖させた場合は麦麹、豆で増殖させた場合は豆麹になり、米麹、麦麹、豆麹などに塩やアルコールを添加したものが塩麹になります。

みそや醤油づくりにおいても、コウジカビの分解酵素がみそ、醤油の原料となる米や大豆を分解していく働きを生かしており、分解酵素には、アミラーゼ、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)、リパーゼ、ペクチナーゼなど様々挙げられます。
酵母とは酵素を作り出す母体の意味でもあり、酵素は発酵において大きな役割を果たしています。

塩麹の酵素活性は?


市販の塩麹商品にはアルコールが添加されているものが多くありますが、麹菌が死滅していても麹菌に由来する分解酵素は塩、アルコールによって死滅することはなく、むしろアルコール添加は細菌による汚染を防ぎ、分解酵素の活性を低下させずに保存性を高めます。

塩麹においての酵素活性について、自家製塩麹においては、乳タンパク質の1つであるカゼイン分解能としては、生姜の約3倍、キウイフルーツの約1/8程との報告もあります。
塩麹を使用することで分解酵素による働きを生かした調理が可能なり、肉に漬け込むと肉が柔らかくなりますが、この際、酵素は80℃ほどで失活するため、加熱前に漬け込むようにします。

米粉パン作りにも


このタンパク質分解酵素、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)を含む米麹を使用することにより、米粉のタンパク質を分解することで、ふくらみが向上した米粉パンづくりにも生かすことが可能にもなります。

様々なプロテアーゼを添加しパンのふくらみを確認したテストでは、以下条件下でおこなわれており、アスペルギルス属以外のカビ由来のプロテアーゼにおいてもふくらみの向上が見られているようです。

米粉に水、プロテアーゼを加え
55℃で8時間、前醗酵をおこない
砂糖、塩、ドライイーストを加えてミキシングをし
38℃で35~50分二次発酵
160℃で30分焼成

適した米粉の条件等については、別途「米粉パンを膨らみよくするには」でお送りします。


参考:自家製塩麹のカゼイン分解活性
市販塩麹製品と自家製塩麹中の酵素活性比較
高品質なグルテンフリー米粉パンとパン製造を可能にする新技術 農研機構 鈴木保宏

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