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ピーナッツ・ツリーナッツにアレルギーがある場合、どの程度、複数種類に反応があるか?

2016.07.04

投稿者
クミタス

アーモンド、くるみ、カシューナッツなどのツリーナッツにアレルギー症状がある方において、複数のツリーナッツにアレルギー症状が出現する方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか?

ピーナッツ、ツリーナッツを除去していた小児160人において、特異的IgE抗体反応陽性またはスクラッチテスト・プリックテスト陽性(sIgE≧50IU/mlまたはSPT≧10mm)であった86人(即時型反応があったのは74人)の中で、ピーナッツにアレルギーがあると考えられるのは62人、アーモンドは9人、クルミ28人、カシューナッツ10人で、
1種類のみのアレルギーは68人(79%)との報告があります(出展:ナッツアレルギー86例の後方視的検討 ​国立成育医療研究センター)。

また、ピーナッツ、アーモンド、クルミ、カシューナッツのいずれかにアレルギーがあると診断された小児科に受診の115人のうち、ピーナッツ、アーモンド、クルミ、カシューナッツの中で複数にアレルギーがある方は11人(9.6%)であったとあり(出展:ピーナッツ・ナッツアレルギー患者における複数のナッツアレルギー併発に関する検討 あいち小児保健医療総合センターアレルギー科)、9割ほどの方がピーナッツ、アーモンド、クルミ、カシューナッツのうち1つにのみアレルギー症状があるとの内容になっています。

今後も成人のケースやほかの報告も見ていきたいところで、小児期においては、ピーナッツ、ツリーナッツをまったく食べさせていない、または1つにアレルギー症状があった場合にすべてのピーナッツ・ツリーナッツを除去しているケースもあるかと思いますが、実際に症状がある方の中で、ピーナッツ、アーモンド、クルミ、カシューナッツにて8~9割近くの方で1種類のみにアレルギー反応を示し、ピーナッツ、アーモンド、クルミ、カシューナッツの中で複数にアレルギー症状がある可能性がある方は1~2割、とも伺えます。

複数のツリーナッツ、ピーナッツにアレルギー反応を示す場合


複数のツリーナッツ、ピーナッツにアレルギー反応を示す方においては、植物に含まれるタンパク質である2Sアルブミン、7Sグロブリン、11Sグロブリンによるアレルギー反応、または花粉との交差反応の可能性があると考えられています。

ピーナッツのアレルゲンタンパク質の1つであるAra h 2は2Sアルブミンに該当し、カシューナッツ、クルミ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ペカンナッツ、ブラジルナッツ、そしてごま、そば、マスタードにも2Sアルブミンは含まれており、アレルゲンとしてWHO/IUISに登録されています。
2Sアルブミンの構造についてまだ明らかになっていない点がありますが、ピーナッツやこれらのナッツの中で複数にアレルギー症状がある場合は、相同性のある2Sアルブミンがアレルゲンである可能性があります。
ヘーゼルナッツにアレルギー症状がある小児の多く、また成人の半数において、2S アルブミン、11S グロブリンのどちらか、もしくは両方に感作している可能性があるとの報告もあります。

ピーナッツ、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、クルミ、ピスタチオ、アーモンド、そしてごま、大豆、マスタード、キウイに含まれる11SグロブリンもアレルゲンとしてWHO/IUISに登録されており、7Sグロブリンは、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、そして大豆に含まれるアレルゲンとして登録されています。

花粉との交差反応においては、シラカンバ花粉の主要抗原であるBet v 1に陽性の方においてヘーゼルナッツ、クルミ、アーモンド、ココナッツ、ピーナッツにて症状が出現する可能性があります。
ほかにヨモギにアレルギー症状がある方において、ピーナッツ、クリ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツにアレルギー症状が出現する可能性はあります。


上記可能性はあり、実際にピーナッツ・ツリーナッツにおいて複数の種類にアレルギー症状が出現する方はいらっしゃるものの、1種類のナッツにアレルギー症状があってもほかのナッツにアレルギー症状が出現するとは限らず、複数にアレルギー症状が出現する方は決して多くはないかもしれないことを考慮のうえ、1つのナッツにアレルギー症状がある場合にすべてのナッツを除去するのではなく、1つずつ症状があるかを確かめられるのが望ましいでしょう。

出典・参考:
ナッツアレルギー86例の後方視的検討 国立成育医療研究センター
ピーナッツ・ナッツアレルギー患者における複数のナッツアレルギー併発に関する検討 あいち小児保健医療総合センターアレルギー科

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