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コリン性蕁麻疹とアナフィラキシー

2016.07.01

投稿者
クミタス

コリン性蕁麻疹では、直径1~5mm程の赤みのある膨疹が出現し、子供も、また主に30歳代前半までの成人にもおこります。
出現したコリン性蕁麻疹は、痒みやピリピリとした痛みを伴い、多くの場合、数分から30分程、長くても数時間で消失しますが、蕁麻疹の出現とともに、眼瞼、口唇に血管性浮腫、喘鳴、腹痛、吐き気、下痢症状などを伴うこともあり、アナフィラキシーに進展することがあるとみられています。

コリン性蕁麻疹患者さんにおいては、汗によりじんましんが出現しますが、アセチルコリンを皮内投与すると、発汗とともに同様のじんましんが出現することから、アセチルコリンを介するじんましんと考えられています。
アセチルコリンにより肥満細胞が脱顆粒し、じんましんを生じる場合と、アセチルコリンにより発汗が促され、汗管閉塞などで真皮にもれた汗によるアレルギー反応でじんましんが形成される場合があると見られています。

コリン性蕁麻疹患者さんにおいては、ヒト汗HRT(ヒスタミン遊離試験)が陽性であったり(66%が陽性であったとの報告もあります)、血清中抗MGL_1304 IgE抗体が高値となっている可能性もあります。
汗により、好塩基球からヒスタミン遊離がおこる現象はアトピー性皮膚炎患者さんにもみられており、MGL_1304は、アトピー性皮膚炎における1つの抗原と考えられている汗中の成分で、マラセチア属真菌の一種であるM. globosaが産生する蛋白質であり、アトピー性皮膚炎を合併している場合においても高値になる場合があります。

発汗が症状誘引の主要因となるため運動後に症状が強く出る場合がありますが、症状が強くない場合は運動を避ける必要はなく、発汗症状を伴うコリン性蕁麻疹患者さんにおいては、むしろ運動負荷を段階的にかけ、運動量を増やしていくことで、発汗障害が軽快すると、蕁麻疹の症状も改善する例がみられています。

コリン性蕁麻疹においては、蕁麻疹が消失しほかに症状が無い場合は、そのまま放置してもよいとも言われていますが、アナフィラキシーに進展する場合もあることを意識し、もし症状が進展する場合は、速やかに受診するなど対応できるのが望ましいでしょう。


参考:アナフィラキシー症状を呈したコリン性蕁麻疹の1例
アナフィラキシーショックを来したコリン性蕁麻疹の2例
臨床皮膚科 2.皮膚疾患の病態 アトピー性皮膚炎と汗抗原
アトピー性皮膚炎における汗アレルギー

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