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桃アレルギーについて

2016.06.21

投稿者
クミタス

桃による食物依存性運動誘発性アナフィラキシー出現例も報告されており、果物の中でも重篤な症状出現をおこすことがある桃ですが、桃のアレルゲンにはどのような特徴があるのでしょうか?

桃のアレルゲン


主なアレルゲンとしては以下が挙げられています。

・Pru p 1 (Bet v 1)
・Pru p 3 (脂質輸送タンパク質(LTP))
加熱、消化に耐性があります。桃の場合は皮の部分に多く、皮をむかずに食べられることも多い欧州では全身性の重症症状を引き起こし得るアレルゲンとして捉えられています。
皮をむくことで摂取量は抑えられ、皮をむいて食べることが多い日本では、欧州に比べると症状誘発可能性は低いともみられています(品種による違いの可能性などもあります)。
・Pru p 2 (ソーマチン様タンパク質)
加熱、pH、消化に耐性があります。
緑色果肉、黄色果肉のキウイフルーツ、リンゴ(Mal d 2)、サクランボ(Pru av 2)、バ ナナ(Mus a 4)、クリ(Cas s TLP)、マスクメロン(Cuc m TLP)にも同様のタンパク質が含まれるとみられています。
・Pru p 4(プロフィリン)
さまざまな花粉にみられ、パンアレルゲンとして知られているプロフィリンによって感作され反応するとみられています。
・Pru p 7 (peamaclein。GRP(Gibberellin-Regulated Protain))
・peptidyl-prolyl cis-trans isomerase FKBP20-1
重篤なアレルギー症状を誘発することがあるアレルゲン
 

症状と新たなアレルゲン


このうち花粉抗原と交差反応性があるのはPru p 1、Pru p 4で、OAS(口腔アレルギー症候群)の症状のみの場合は、Pru p 1、Pru p 4がアレルゲンである可能性があります。

peamacleinは、2012年に新たに登録(WHO-IUIS Allergen Nomenclature Subcommittee )された、果肉や皮に含まれ、加熱や消化に強く、全身症状を引き起こし得ると考えられている新規アレルゲンで、LTP 画分中に混在すると考えられるGRP(Gibberellin-Regulated Protain)になります。
口腔を中心にした症状以外にも症状がある場合や、アナフィラキシー症状がある場合は、Pru p 7 (peamaclein)がアレルゲンとなっている可能性があります。比較的、眼瞼浮腫症状が見られるとの意見があります。
りんごにもGRP(Gibberellin-Regulated Protain)が含まれるとの示唆があり、桃に比べるとりんごのGRP(Gibberellin-Regulated Protain)の含有量は桃の1/1000程で、桃のPru p 7にアレルギーがあり全身症状出現した場合でも、りんごにアレルギー症状が出現しなかったとの報告例もあります。

桃にアレルギー症状のある方では、バラ科植物の果実にアレルギー症状が出現する場合がありますが、ナッツ、ピーナッツ、トウモロコシ、米、タマネギ、オレンジ、セロリ、トマトなどはバラ科植物ではありませんが、桃の脂質輸送タンパク質(LTP)との交差反応性があり、皮膚症状を起こす可能性が示唆されています。

喘息と桃に重症のアナフィラキシーを合併している30歳女性で、喘息の完全なコントロールを目的としてオマリズマブ(ゾレア)の投与をおこなったところ、喘息の症状やピークフロー値は著しく改善し、桃は本人の除去解除の希望のもと、一定間隔ごとに桃の負荷量を漸増して負荷試験を行い、オマリズマブ投与28週後に白桃290g(2個)を症状の誘発なく完食し、桃の除去を解除して以降も、アレルギー症状の再発は認めていない、との報告もあります。

桃アレルギーにおけるアレルゲンについては重症マーカーとしてのGRP、FKBPなどの研究が進められていますが、今後また新たな情報についてアップデートしていきたいと思います。


参考・出典:
Tuppo L, Alessandri C, Pomponi D, Tamburrini M, Ferrara R, Petriccione M, Mangone I, Palazzo P, Liso M, Giangrieco I, Crescenzo R, Bernardi ML, Zennaro D, Helmer-Citterich M, Mari A, Ciardiello MA. Peamaclein – A new peach allergenic protein: similarities, differences and misleading features compared to Pru p 3. Clin Exp Allergy 2012; 43: 128-40
Inomata N, Okazaki F, Moriyama T, Nomura Y, Yamaguchi Y, Honjoh T, Kawamura Y, Narita H, Aihara M. Identification of peamaclein as a marker allergen related to systemic reactions in peach allergy. Ann Allergy Asthma Immunol 2014; 112: 175-83.
リンゴにおけるPru p 7様アレルゲンの同定
モノクローナル抗体を用いた 免疫学的手法による食の安全・安心の確保 Gibberellin Regulated Protein はモモアレルギーにおける全身性反応のマーカ ーアレルゲンである 
新規モモアレルゲン Pur p7: 特異抗体による定量とリコンビナント抗原の作製 
出典:Omalizumabの投与により合併するモモアレルギーの改善を認めた成人喘息の1例

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