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アトピー性皮膚炎におけるタイプ

2016.05.14

投稿者
クミタス

アトピー性皮膚炎においては、2つのタイプに分類されることがあります。
外因性
・IgE抗体反応が高い傾向にある
・皮膚バリア障害があることが多い
・フィラグリン遺伝子変異をもつことが多い
・乳幼児期から炎症があることが多い
・結節性痒疹、顔面紅斑、紅皮症、脱毛などが比較的多い

内因性
・平均すると約20%ほどが該当
・IgE抗体反応は正常値範囲であることが多い
・Th1が活性化している
・金属アレルギーを持つ方が多い(歯科金属含む)
・成人になってから発症することが多い
・女性が比較的多い
・TARC値正常範囲であることが多い
・IFN-γ産生細胞が多い
・手湿疹、亜急性痒疹が比較的多くみられる

金属であるニッケルの外因性アトピーでのパッチテスト陽性率は18%、コバルト陽性率12%に対して、内因性アトピーでのニッケルのパッチテスト陽性率は41%、そしてコバルト陽性率41%などと高い傾向にあり、汗に含まれるニッケルも内因性アトピーの方のほうが外因性アトピーの場合よりも多く検出されるとの報告もあります。
この背景として、内因性アトピーにおいては皮膚バリア機能は正常範囲であることが多く、ダニなどの抗原反応は起こる可能性は低くなる一方、金属などの分子量が小さい物質は浸透することで、金属アレルギー反応を起こす可能性はあるとも考えられています。
フィラグリン遺伝子変異を持つ方において、乳児期のネコへの曝露は、アトピー性皮膚炎の発症率を有意に増加させるとの報告もあります。
また、抗菌性ペプチドは人を含む様々な生物に存在し、抗菌作用を発揮し、感染防御や免疫活性をもたらすと考えられていますが、アトピー性皮膚炎の方においては、表皮の分化異常のため、抗菌ペプチドの発現が低下しており、炎症があっても抗菌ペプチドがうまく誘導されていない可能性について示唆されています。抗菌ペプチドの発現低下は、黄色ブドウ球菌による皮膚感染に感受性をもつ要因となり、抗菌性ペプチド発現不足が皮膚症状悪化の要因の1つとなっている可能性があります。

出典・参考:アトピー性皮膚炎の難治性皮膚病変の病態解析と病態に基づいたピンポイントな新規治療の開発
アトピー性皮膚炎における内因性の抗菌性ペプチドと皮膚感染 ほか

「入院加療を行った重症アトピー性皮膚炎乳児を解析した結果では、5か月未満に治療を開始した群では、治療開始が遅れた群と比べて、1歳6ヶ月時点での食物への感作程度、そして食物アレルギーを発症した割合が少なかった」(出典・参考:アトピー性皮膚炎への早期介入と寛解)との報告があります。

乳児の重症アトピー性皮膚炎においては、食物アレルギーを併発している場合がありますが、経皮感作の進行と、離乳食開始による経腸管耐性獲得の状況が、食物アレルギーの発症に影響する可能性があるとも考えられています。
経皮感作進行予防においてはスキンケアが挙げられますが、早期介入による予防可能性とともに、要因やメカニズムの解明により、要因に応じた予防、治療へと進展する可能性はあるかもしれません。

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