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エピペンについて

2016.05.05

投稿者
クミタス

エピペンを処方されておりエピペンの必要性を十分に把握していても、実際に注射が必要な状況になり、注射ができないケースが存在しています。

広島市消防局管内で2009年10月から2013年9月までの、アナフィラキシーの疑いで搬送した患者さん424名のうち、22名(5.2%)にエピペンが処方されていたが、自己注射を実施したのは8名(被処方者の 36%)のみであった。
実施しなかった1例として、過去に母親が男児にエピペン注射を実施できたことがあったが、(その際は)13歳男児が針を怖がり動いたために救急車到着まで注射ができなかった例もある。
出典・参考:母親によるアドレナリン自己注射製剤(エピペン)注射を拒否した 10代アナフィラキシー患児の 1症例

滋賀県立小児保健医療センター小児科でのエピペン処方総数139例のうち、処方のきっかけとなった食物は鶏卵、牛乳、小麦の順に多かった。喘息、アトピー性皮膚炎、他の食物アレルギーの合併は49例(35.3%)、68例(48.9%)、102例(73.4%)に見られ、皮膚症状が94.2%、呼吸器症状が78.5%、消化器症状28.1%、循環器症状24.8%であった。エピペンが処方されて以降にアレルギー症状があった24例のうち、エピペン使用例は6例(25%)で、不使用18例の理由には注射行為への不安8例、不携帯5例、内服のみで改善3例、すぐ救急受診2例であった。
出典・参考:アドレナリン自己注射薬(エピペン)を処方した食物アレルギー小児例の検討

あいち小児保健医療総合センターアレルギー科で2005年8月から2011年2月までにエピペンを処方した117例(延べ211本)の初回処方年齢は2.5歳から27.8歳(中央値7.0歳)で、処方理由となった食物は。鶏卵(56名),牛乳(55名)の順に多く、使用例は6例(5.1%)、4例はプレホスピタルケアとして使用されたが、2例は病院受診後の使用であり、中には学校で床に落として発射された事故が1件あった。
出典・参考:当科でアドレナリン自己注射器を処方した患者の実態調査

患者さん所有の有効期限が切れているエピペンを投与した事例もあり、有効期限の確認や不携帯の改善など、必要な方にとっては必要性の再認識も重要ですが、注射不安改善も必要と言えます。注射不安を抱く理由としては以下等が一例として挙げられるかと思います。

・打つべきケースなのかどうかの見極めができない
「一般向けエピペン®の適応」では、「エピペン®が処方されている患者でアナフィラキシーショックを疑う場合、下記の症状が一つでもあれば使用すべきである。」としています(出典:日本小児アレルギー学会)。
https://www.jspaci.jp/modules/membership/index.php?page=article&storyid=63
エピペン処方時にも説明を受けるかと思いますが、前回アナフィラキシーを起こした際と少し異なる症状が出る場合、食物が原因かわからない場合などにおいても事前に相談しておけると緊急時にも落ち着いた対処ができることにつながります。

・注射を打つこと自体が不安
定期的なリハーサルやラベルの確認が望ましいでしょう。また、デモ用と実物とを混同しない対策や、鍵をかけて保管するなど取り出しに時間がかかる場所や携帯しない時間が長い場所での保管ではなく、実物の取り出しも慌てずスムーズにできるようにしておきましょう。

・体動があり注射を打ちにくい
できるだけ早めに注射を打てるようにできるのが望ましいです。
着衣に食べ物をこぼしていたり、汚れていなければ、着衣の上からの注射も可能です(滑らないようにする工夫が必要な場合もあります)。

・注射の痛みへの恐怖
一度エピペンを使用した際に、痛みを経験して次回注射時に嫌がる、という場合もあり得ますが、適切な注射により、痛みがより和らぐこともあります。

・誤って注射した時のリスク、副反応懸念
エピペン処方時にも説明を受けるかと思いますが、正しく注射するには、処方時の講習だけでなく忘れないように定期的なリハーサルの実施、また着衣の上からではどうか、体動があるときではどうかなども試しておけると尚良いでしょう。

エピペン注射が必要ない状態でいられることがまず望ましいですが、必要な際に落ち着いて対処できるよう日頃から対応できるようにしておきたいですね。

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