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リノール酸などの多価不飽和脂肪酸の酸化とヒスタミンについて

2016.01.19

投稿者
クミタス

油脂は空気中の酸素によっても酸化し、分解もします。
リノール酸などのω6不飽和脂肪酸が酸化されると、初期に過酸化脂質のヒドロペルオキシドが生成され、分解によりヒドロペルオキシアルケナールが生じます。
ヒドロペルオキシドの1つが13-ヒドロペルオキシリノール酸(13-HPODE)で、ヒドロペルオキシアルケナールの1つ、4-ヒドロペルオキシ-2-ノネナール (HPNE) は酸化反応によって生じる中間体であり、4-ヒドロキシ-2-ノネナール (HNE) 、4-オキソ-2-ノネナール (ONE) の前駆体でもあります。
13-ヒドロペルオキシリノール酸(13-HPODE)はリン脂質やタンパク質のアミノ酸と反応することで、生体内で酸化傷害の原因ともなる面があり、4-ヒドロキシ-2-ノネナール (HNE) は反応性の高いアルデヒドで、タンパク質中のアミノ酸と反応しやすい面があると考えられています。

この13-ヒドロペルオキシリノール酸(13-HPODE)、4-ヒドロキシ-2-ノネナール(HNE)は、生体内にてヒスタミン放出促進作用を示すとの報告があります。
ヒスタミンの放出が促進すると、くしゃみ、鼻水、眼の痒み、涙眼、息切れ、肌の乾燥、発赤といった炎症反応が見られることがあります。

油脂の酸化は、空気にさらされることでも起こりますが、加熱によって酸化がより進みやすく、繰り返し使用すると尚、酸化します。また熱分解により揮発性化合物の生成、高温で長時間加熱した場合に、有害な環状化合物が生成されることもあります。

13-HPODE、HNEの生成量を抑制するうえでは、生成元ともなるリノール酸等のω6不飽和脂肪酸の、またω6不飽和脂肪酸の過酸化分解物の摂取コントロールを意識し、ω6不飽和脂肪酸を多く含む食用油脂の開封後の密閉および早めの消費、同じ油の繰り返しの加熱使用を避けることも一つの方策になり得る可能性があります。

13-HPODE、HNEなどの脂質過酸化分解物を摂取した際の影響、また摂取量によってどの程度体内での影響があるかについては、まだ明確になっている段階とは言えませんが、油を摂取後に、くしゃみ、鼻水、眼の痒み、涙眼、息切れ、肌の乾燥、発赤がある場合、リノール酸などのω6不飽和脂肪酸の酸化により、ヒスタミン放出促進が働き、上記のような反応をもたらす可能性があり得ることを視野に、特に酸化したω6不飽和脂肪酸を多く含む食用油脂の摂取には意識されるのも良いかもしれません。


参考:総説 油脂劣化とその分析評価
アレルギー反応に及ぼす生体内脂質過酸化の影響
食用油の加熱によって生じる有害アルデヒド4-hydroxy-2E -nonenal およびその類縁化合物4-hydroxy-2E -hexenal の定量分析

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