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カフェインの代謝について

2015.12.23

投稿者
クミタス

カフェインを含む食品には、コーヒー、緑茶、チョコレート、コーラなどがありますが、エナジードリンク、薬剤、ダイエットサプリにもカフェインを含むものがあります。

カフェインの特徴として以下等が挙げられます。
・覚醒・興奮作用がある(アデノシン拮抗作用)
・肝臓で代謝される(酵素CYP1A2、キサンチンオキシダーゼ)
・胃酸分泌促進作用がある
・中枢神経興奮作用がある
・心筋の機能亢進、気管支拡張作用がある(c-AMP上昇により)
・脳血管収縮作用がある

この作用に影響を与える可能性があるものとして以下などが挙げられます。

カフェインの作用に影響を与える可能性のあるもの


・アルコール:カフェインの代謝を60%低下させるため、血清カフェイン濃度や、有害作用を高める可能性がある。
アルコールのエナジードリンク割りといった飲酒においては、飲みやすさからアルコール摂取量が増える場合にはアルコール摂取量への留意が必要ですが、エナジードリンクの摂取量も多くなりやすいため、短時間でカフェイン摂取量が増えやすくもなり得ます。カフェイン摂取量が多い状態で、アルコールによりカフェイン代謝が遅れることでカフェイン血清濃度が高くなりやすくなることを踏まえ、短時間で大幅に超える量の摂取にならないよう調整できると望ましいでしょう(EFSAでは1度のカフェイン摂取量は200mgを挙げています。参考値:コーヒー200mlあたりカフェイン90mg、エナジードリンク250mlあたり80mg)。ただ、1日内でアルコールとカフェインを別々に摂取していても接取量が多い場合はリスクが高まるとの意見もあります)。

・カフェイン代謝と同じ酵素(CYP1A2)で代謝される薬剤を服用の際は、カフェイン代謝が遅れ、カフェインの血中濃度が高い状態が続く場合がある。

・カフェイン代謝を阻害する作用のある薬剤を服用の際は、カフェイン代謝が遅れ、カフェインの血中濃度が高い状態が続く場合がある。

・中枢神経興奮作用のある薬剤を服用の際は、カフェインの中枢神経興奮作用と相加的に増強する可能性がある(すべてが該当するわけではありません)。

・c-AMP濃度を上昇させる薬剤は、カフェインの心筋の機能亢進、気管支拡張作用を増強する可能性がある。

また、経口避妊薬においてカフェインのクリアランス速度を40~65%低下させる、との報告もあります。
一方、カフェインの血中濃度を早く下げる作用のあるものもあります。

・カフェインの代謝に関与する酵素CYP1A2を誘導する(増やす)作用のあるものの摂取により、カフェインの血中濃度が早く下がる可能性がある。
喫煙、一部の薬剤(リファンピシン)など
コーヒー好きな方の中には喫煙者もいらっしゃると思いますが、喫煙によりCYP1A2が誘導され、喫煙者の方がカフェインを早く代謝するとも言われています。早く代謝する場合、カフェインの作用も早く消失することになります。
しかしCYP1A2が誘導されると、CYP1A2で代謝される薬剤の血中濃度が早く下がっていくため、薬の作用が弱くなってしまうことがあります。薬剤によっては非喫煙者と比べ1.5~2倍量ほど摂取をしないと同等の効果が得られないとの意見のあるものもありますので、喫煙中でCYP1A2で代謝される薬剤を服用中の方は留意が必要です。

尚、喫煙によるCYP1A2の誘導は、タバコの煙に含まれる多環性芳香族炭化水素(ベンゾピレンなど)が寄与していると考えられています。
多環性芳香族炭化水素は、直火調理(あぶり焼き、炭火焼き、網焼き、バーベキューなど)や薫煙調理(燻製など)においても発生するとの報告があります。
ただ、多環性芳香族炭化水素には発がん性、変異原性があるとされるもの、問われているものも数多く存在しているため、カフェイン代謝のために多環性芳香族炭化水素を積極的に摂取するというのは考えもので、新たなリスクを生み出す可能性があると言えます。
 

カフェイン代謝の個人差について


カフェイン代謝に関与する主な酵素CYP1A2の活性が低い方、多く保持している方、増えやすい方がおり、カフェイン代謝に関与する他の酵素CYP2A6を欠損している方が日本人の約10%程度との示唆もあります(特定の酵素の活性が低い、欠損している場合は他の酵素が代わりに代謝することもあります)。
年齢によっても活性は異なり、出生時点ではCYP1A2の活性がほとんどないが徐々に出現し6カ月後には成人レベルに達し、40歳以上では40歳未満より約22%低くなるとの報告もあり、喫煙有無や年齢、摂取する薬剤や食品の影響可能性など、カフェイン代謝レベルには個人差があります。
もしサプリメントなどで高容量カフェインも摂取していて不調がある方は、1日にトータルでどのくらい摂取しているか見直してみるのも良いかもしれません。

参考:Pharmacist’s Letter/Prescriber’s letter Natural Medicine Comprehensive Databasetiba (2006)
薬物代謝酵素の表現型と遺伝子型の臨床的意義に関する検討 2005 ほか

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