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外用剤の家庭での保管について

2015.12.19

投稿者
クミタス

服用する薬にも有効期間または使用期限がありますが、軟膏も有効期間を経過したり、保存状態が悪い場合に劣化します。
白色ワセリン単体を使用されている方もいらっしゃると思いますが、白色ワセリンは軟膏の基材としても使用されていることもあり、また白色ワセリンと合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)が混ぜられたものを使用されることも多いかと思います。

ある合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)と白色ワセリンの混合軟膏において、その有効成分である吉草酸ベタメタゾン(Strongにランクされるステロイド)がどの程度残存するかを調べた調査によると、無色ガラスに入れた状態で25℃、光照射下では12週に70%まで減少、40℃で光照射下では2日後に34%まで減少し1週間では完全に消失したとの報告があります。

参考・出典:院内製剤の品質確保-安定性試験-

白色ワセリン(プロペト)で希釈したある合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)において、高温多湿環境下(40℃、75%RH)では、約5~15%程度の主薬含量の低下が認められ、加水分解が進んだことが推測される、との報告があります。

参考・出典:白色ワセリンと混合したステロイド軟膏剤の品質評価―レオロジー特性および安定性―

またステロイド剤ではありませんが、貯法として室温、遮光した気密容器保存、とされている外用剤の中には、光で有効成分が分解されるものもあり、プラスチック容器内で蛍光灯の灯りでも10日後に6%ほど有効成分が低下した、との試験結果のある外用剤もあります。

合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)と基材によっては、混合による刺激やpHの変化により転移による加水分解を起こし、主薬含量の低減がおこる場合があることは示唆されていますが、基材混合の合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)は塗布しやすく、利便性が高い面があり、適切な使用・保管方法で有効期限内あれば、有効成分が低減することはないと考えられています。

遮光保存とされている外用剤については、蛍光灯の灯りが長時間当たる場所での使用や保管などに留意し、外用剤によっても異なりますが、家庭での管理状態によっては、有効期間または使用期限内でも、有効成分が低減、消失したものを使用している場合もありますので、遮光保存の外用剤は暗所での保管を、また室温保存のものは高温にならない場所での保管、そして有効期間または使用期限を意識し、有効期限がかなり超過した昔使った軟膏剤を使用する、といったことは避けるのが望ましいでしょう。

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